玖(Sasa猫) ページ12
「それで?紬はどこにいきたいの?」
街に繰り出した私達。
開口一番に姉さんはそう言ってくる。
行きたいところ。なんて。そんなの一つしかない。
私は姉の手を握るとそのままスタスタと歩き始めた。
え、どこいくの?なんて言ってくるがスルーだスルー。
そして到着した場所に姉さんは「相変わらず甘いもの好きね」と呆れた笑みを浮かべる。
そう、我々は今、甘味処に来ていた。
甘味処の中に入ってすぐ右手に座敷がある。
私は靴を脱いで座敷にあるメニュー表を見た。
はあ……やはり甘味処はいい。
疲れた時、甘いものを食べると回復する。
そのことから私は疲れた時は甘いものを食べると決まっている。
甘いものを食べて「んー」っとたまらない顔をする私に「美味しそうね」と頬杖をついて眺める姉さん。
姉さんは食べないの?と尋ねると姉さんは「うん。美味しそうに食べる紬が見れるだけで満足だ」と笑った。
そーなの?美味しいのに……
視線を落とす私はお団子を一口。
口の中に広がるみたらしの甘さともっちりとした団子が絶妙に合っていた。
……にしても、と甘いものを食べながらポヤポヤと考える。
まさか師範と手合わせすることになるなんて思わなかったな。そして、その勝負に勝ったことも。
正直、まだ夢心地でいる。
柱になったことも、
姉さんと会ったことも、
全部全部、夢なんじゃないかなって。
もちろん、夢じゃないってことはわかってる。
「……姉さん」
「ん?」
「私、全ての鬼を狩ったら、日本中の甘味処巡りをしたいな」
「いい夢ね」
「でしょ。だから、私。頑張る」
「ううん。違うよ、紬」
「?」
「一緒に頑張るの。一人じゃない、貴女には私が、私には貴女がいる。それが双子というものでしょう?」
「そうだね。姉さんと、頑張る」
「うん。分かったならよし。たくさん甘いもの食べて任務に行こうね」
「……、………、………ん」
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