Story.2 ページ4
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ビルの外に出ると、10月の終わりらしい冷気が、羽織ったコートの生地を通り抜けて体に突き刺さった。
マナーモードにしていたスマホを開くと、マネージャーから仕事の連絡がきていた。
『２週間後、女性誌の撮影が決まりました！インタビューもあります！』
「女性誌……か」
早速、スケジュールに予定を追加しようと思ってカレンダーアプリを開く。予定一覧を見ると、直近一ヶ月くらいの予定が「仕事」タグがついたもので埋まっていて、思わず頬を緩めた。
中学を卒業した辺りから持っていたおぼろげな未来予想図がはっきりとして、本気で歌手を目指そうと思うようになったのは、高校三年の冬頃、受験シーズン真っただ中のときのことだった。
歌手という、収入が不安定でチャンスも少ないような職業を志すことに、最初、両親はあまり良い顔をしなかった。歌手として売れたら俳優もやってみたい、と言うと、さらに顔をしかめた。特に父親の反対は強烈で、俺がいくら説得を試みても少しも意見を曲げなかった。
まあ最終的には妹の説得もあって了解はしてくれたものの、両親は二人とも、最後まで俺が歌手を目指すことをよく思ってはいなかった。
そんなもめ事もあり、目指すことになったこの職業。
ときどきウィキペディアみたいなサイトなんかで俺の経歴を振り返ってみると、意外とやってきたこと、出してきた曲が多いことに気づき、自分でもびっくりする。
最初の一年間こそ、なかなかメジャーデビューの機会にも恵まれずに辛い思いをしたけれど、今になってみると、アニソンやドラマ主題歌、それにCMソングなど、曲も様々なところで使われているし、モデル、雑誌の撮影といった歌以外の仕事もたくさんいただいている。
まだ正式にオファーを頂いたわけではないけれど、マネージャーいわく「今年の紅白は確実」だそうで、こんな俺の歌にも感動して、ファンになってくれる人がいるのだと思うと、やっぱり嬉しい。
でも、ときどき、罪悪感を感じることもある。
そもそも、俺は純粋な「自分の歌を聴いてほしい」という想いから歌手を志したわけではないからだ。
じゃあどうして歌手という道を選んだかと聞かれれば、その話にはまた、あいつが絡んでくるのだけれど。
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (1月17日 21時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
葵 涼翔(プロフ) - ℛさん» 嬉しい感想、ありがとうございます！現在続きを書き溜めしている途中ですので、ぜひ楽しみにしててもらえると幸いです！ (12月5日 12時) (レス) id: e32b23911b (このIDを非表示/違反報告)
ℛ - めちゃくちゃ好きです、続き待ってます！応援してます (12月4日 18時) (レス) @page30 id: c3fc1ccfa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 涼翔 | 作成日時：2023年10月27日 14時
