Story.27 ページ30
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それから三時間ほど経ち、窓からは夕陽が射し込んでくる頃。
「パパが帰ってくるまでまってる！」と豪語していた真都くんは、遊び疲れたのか、俺の腕の中ですっかり眠りに落ちていた。
「もー、そろそろパパ帰ってくる時間だよ？」
そう言って頭を撫でてみるけれど、眠っている真都くんの耳には届かない。
すると、ピンポーン、というチャイム音が静かなリビングに鳴り響いた。モニターを見てみると、見慣れた顔が映っている。
「ほら、言ったそばから」
玄関のドアを開けると、「おう！」という声と共に、俺の高校の同級生、通称ふっかが、へらっと笑みを浮かべて上がってきた。
腕の中の真都くんを見て、「真都、ぐずったりしてなかった？」と問われる。
「してなかったよ。『パパが帰ってくるまで待ってる』って言ってたのに、遊び疲れて寝ちゃった」
「そっか」
そう言って真都くんの頭を撫でるふっかを見ていると、あの時のどこかチャラチャラしていた面影は全くなく、完全に息子を可愛がる親のような表情になっていて、どこか感慨深さを感じる。
「……ふっか、もう完全にパパの顔だね」
「そうかな？俺はあんま自覚ないけどね」
でも、真都のパパになってあげたい、っていう気持ちはあるから、と、どこか寂しそうな顔でふっかが言った。
「……もう四年？」
「そ。でもまだ、真都に本当のことを言うのは早すぎるかなって。
真都が十歳になったら、かな」
俺の手から真都を抱き上げ、リビングのソファに寝かせながらふっかが言う。
真都くんの実の親は、ふっかの弟とその奥さん。でも、真都くんが一歳の時に、交通事故で二人とも亡くしてしまって。代わりに、兄であるふっかが真都くんを引き取ることになったのだ。
そして、物心ついたときにはふっかに育てられていた真都は、ふっかが本当の親ではないことをまだ知らない。実の両親の顔も覚えていない。
実の両親も覚えていないなんて残酷だけれど、その分、俺が二人分の愛を真都にあげるんだ、と、いつだったかふっかが言っていた。
「……俺も、できるだけのことは手伝うね」
「どうしたの、今更。……でも、舘さんがいてくれるのは正直めちゃめちゃ心強い。俺だけじゃできないこともあるから」
「それなら良かった、」
パウダースノウで働くのも、お客さんの笑顔が見られるし、やり甲斐があって好きだけれど、こうやって同級生と言葉を交わすゆったりした時間も、俺は気に入っている。
続く (更新停止中)
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (1月17日 21時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
葵 涼翔(プロフ) - ℛさん» 嬉しい感想、ありがとうございます！現在続きを書き溜めしている途中ですので、ぜひ楽しみにしててもらえると幸いです！ (12月5日 12時) (レス) id: e32b23911b (このIDを非表示/違反報告)
ℛ - めちゃくちゃ好きです、続き待ってます！応援してます (12月4日 18時) (レス) @page30 id: c3fc1ccfa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 涼翔 | 作成日時：2023年10月27日 14時
