Story.9 ページ11
kj side.
「ふーん、舘に運命の人、なぁ……んふふ」
ちょっと冬に近づいてきたのか、少しきつい寒さがコート越しに俺の体を冷やす。
普段だったら、寒がりな俺は無言で早く帰ろうとするんやろうけど、今はちょっと楽しい気分。なんなら、いつもより足取りが軽い。
だってあの、カフェとお客さんのことしか考えてなさそうな舘に、運命の人やで？！
あの顔……恋愛マスターの俺なら確実にわかる。あれは……恋をしとる人の顔や。
普段、常に落ち着き払っていて、ちょっとやそっとのことじゃ余裕を崩さないような舘が、ほぼ初めてと言っていいほど、余裕のない表情を俺に見せたこと。
それがちょっとだけ嬉しくって、ついでに、ちょっと面白くて、さらに足取りも軽くなる。
……明日はいい写真が撮れそうやな。
「お疲れ様です」
「あ！お疲れ様です！」
スタジオのドアが開閉する、ガチャン、という音がすると、柔らかくて低い、それでいて優しい声が鼓膜を揺らした。
「あ、向井さん。今日もお疲れ様です」
「いえいえ！蓮くんこそ、いつもかっこええ写真撮らせてもらってありがとうございます！」
俺がそう言うと、黒髪を耳辺りで切り揃えたイケメンさん――俳優の目黒蓮さん、通称蓮くんが、「向井さんの撮り方が上手いだけですって」と照れたように笑う。
(照れた顔までイケメンさんなんやな……)
ともかく、なぜか俺、蓮くんに気に入られとるんよな……他のカメラマンさんにはそんな対応しないのに、俺にだけなぜか毎回声をかけてきたり、この前なんてLINEまで交換してもらったんやで？絶対カメラマンと俳優の関係じゃないよな！
……ふっ、君たち羨ましいやろ( ･´ｰ･｀)←
「それじゃ撮影始めまーす！」
右側の照明さんが声を上げると、さっきまで柔らかい表情をしていた蓮くんは一気に仕事モード。優しげな垂れ目にも眼光が宿り、着ている黒い服も一気にスタイリッシュな雰囲気に様変わりする。
(そう考えると、やっぱり蓮くんってすごいんやな……)
改めてそんなことを思いつつ、俺はレンズに蓮くんの姿を焼き付けた。
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (1月17日 21時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
葵 涼翔(プロフ) - ℛさん» 嬉しい感想、ありがとうございます！現在続きを書き溜めしている途中ですので、ぜひ楽しみにしててもらえると幸いです！ (12月5日 12時) (レス) id: e32b23911b (このIDを非表示/違反報告)
ℛ - めちゃくちゃ好きです、続き待ってます！応援してます (12月4日 18時) (レス) @page30 id: c3fc1ccfa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 涼翔 | 作成日時：2023年10月27日 14時
