Prologue ページ2
nb side.
――ょーくん、しょーくん？
それは、まだ俺が３、４歳前後、地元の幼稚園に通っていた頃のこと。
ほんの数週間しか会ったことがないのに、幼少期のどんな記憶よりも鮮やかに、どんな声よりも色濃く、仕草や言動のすべてが目に焼き付いた男の子がいたのを、いまだに覚えている。
引っ込み思案で、笑うと困り眉になって、目はちょっと吊り目。
数週間しか一緒に過ごしていないくせに、一人で物思いにふけっているとき、必ず思い出す男の子。
フルネームも知らないくせに、俺が今、この仕事を選ぶきっかけにもなった男の子。
今どこにいるかも分からないくせに、ずっと惹かれていて、なんなら、淡い恋心さえ抱いている男の子。
「……りょーくん」
この世のどの名前よりも、どんな言葉よりも大切な単語を、一文字一文字、細胞に刻みつけるように発声する。
この言葉を忘れてしまったら、もう、彼には二度と会えないような気がするから。
彼が、どこにいるかは分からないけど。
俺、見つけてもらえるように頑張るから。
……お前も俺のこと、絶対見つけろよ。
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dt side.
――ょーくん、りょーくんっ！
それは、まだ俺が３歳くらいの頃かな、幼稚園に通っていた頃のこと。
過ごした時間はほんの１ヶ月にも満たないのに、その後のどんな学生時代の思い出、記憶よりも鮮明に覚えている人。
自分とは違って活発で、口を開けて豪快に笑って、目は垂れ目。
数週間しか一緒に過ごしていないくせに、ふと気持ちが切れたときに、気がつけば名前を呼んでいる男の子。
正しい名前も知らないくせに、人混みでその姿を探してしまう男の子。
今どこにいるかも分からないくせに、曖昧な記憶を頼りに、姿を探してしまう男の子。
「しょーくん、か」
この言葉は、いつも俺に勇気を運んで来てくれる。
きっとこの言葉さえあれば、俺は彼を見つけられるはずだ。
そう思わせてくれる、魔法のような言葉。
ねえ、俺、覚えてるよ。
生まれる前から、君のこと知ってるよ。
だから、――も、俺のこと……ちゃんと見つけてね。
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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (1月17日 21時) (
レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
葵 涼翔(プロフ) - ℛさん» 嬉しい感想、ありがとうございます！現在続きを書き溜めしている途中ですので、ぜひ楽しみにしててもらえると幸いです！ (12月5日 12時) (レス) id: e32b23911b (このIDを非表示/違反報告)
ℛ - めちゃくちゃ好きです、続き待ってます！応援してます (12月4日 18時) (レス) @page30 id: c3fc1ccfa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葵 涼翔 | 作成日時：2023年10月27日 14時
