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「隣、いい？」
「あ、うん。どうぞ」
「ありがと」
すとん、と私の隣に座り、大きな目をちょっと下げて、また微笑む。
「宮近くん、講義は？」
「まあ、俺もどうしようか迷ってたとこだったんだよね」
「行かなくていいの？」
「うん。１回や２回サボったからってどってことないよ」
「てことは、サボるの初めてじゃないってこと？」
「はは。バレたか」
こんなところで堂々とサボっていていいのかな。
そう思ったけれど、ニコニコしている宮近くんの顔を見ていたらなんだか楽しくなってきて、細かいことは考えないことにした。
そろそろ、次の講義が始まる頃だ。
元太くんは間に合ったのかな。
「元太くん、わざわざこっちに来ないで校舎に入ればよかったのにね」
渡り廊下の向こう側からやってきて、このベンチの前に来て、それからまた渡り廊下のほうへ戻って行ったのだから、その分時間をロスしている。
「講義、間に合うといいけど」
「あー、俺が寄ろうって言ったんだよ」
「そうなの？」
「向こうからここに座ってるAちゃんが見えたから」
その言葉は意外なもので、どう返事をしていいか、わからなかった。
「何か考え事でもしてた？」
「え......」
「寂しそうな顔してる」
どうしてわかったんだろう。
そう思ったけれど、それすらも、うまく言葉にできない。
松倉の言葉や態度がどうしても気になって、頭から離れなかった。
そうさせてしまったのは私自身だとわかっているけれど、初めて知った松倉の一面に、思っている以上にショックを受けていた。
それで "寂しそうな顔してる" なんて、自分でも気づいていなかったけど。
「前に話したとき、いつだって聞く、って言ったじゃん？」
「うん......」
「言ったからにはさぁ、なんか、気になっちゃうんだよね」
「Aちゃんのこと」と顔を覗き込まれて、心で絡まっていたものが解けた。
この優しい眼差しに、私は弱いみたいだ。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
