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「あっという間だったね」
「一番上の景色、見れた？」
「んーん。海人くんは？」
「いや、俺も見れなかった」
寸前まで楽しみにしていたはずなのに、どうしたことか。
気づいたらすっかり忘れていた。
いつのまにか......Aちゃんのことで、頭がいっぱいで。
「......そっち行ったら危ないかな？」
無性に隣に座りたくなって、返事も聞かずに立ち上がった。
傾きが最小限になるよう注意してゆっくりと移動すると、Aちゃんは、俺が座るためのスペースを黙って作ってくれた。
こういうところかもしれない、と思った。
自分から誘いの連絡をすること。
思いがけず将来の話をしてしまったこと。
帰り際に手を繋いで、キスしたこと。
また会いたいなと思うこと。
俺の、Aちゃんへの行動の理由。
突飛な俺を、何も言わずに受け入れてくれる、この何気ない居心地の良さにあるのかもしれない......。
片方に重心が寄ったゴンドラは、少し不安定にはなったけれど、ちょっとしたスリルが加わって面白みが増した。
「意外と大丈夫だったね」
「だね」
「でも動いたら危ないかも」
「うん。着くまで大人しくしてる」
悪いことでもしているみたいな気分。
ふたりして目を合わせて、子供みたいな顔で笑った。
「また一緒にこういうところ、来れたらいいね」
「そうだね」
「飲みにも行こう。ジェシーくんもまた連れてこいって言ってた」
「うん。私もまた行きたい」
「帰ったら連絡するね」
今度は、簡単には触れないように。
またチャラいやつって思われないように。
......まあ、所詮俺だし。
チャラいって思われてもいいんだけど、とりあえず、できる限り。それなりに気をつけてみよう。
そんなことを考えているうちに、ゴンドラは地上に到着した。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
