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歓声に笑顔で応えた後、走ってグラウンドの真ん中に戻っていく元太くんを見送ると、宮近くんが横から私の顔を覗き込んできた。
「あれね、虎さんポーズ」
そう言って、ガオー、と、さっきの元太くんの真似をする。
「ゴールパフォーマンスだって。こないだ一緒に考えたの」
「ゴールパフォーマンスまで考えてたの？元太くんらしいなぁ」
「有言実行とはこのことだよね」
「本当に。でも、なんで虎さんなんだろう？」
「なんか強そうだからって」
「ふふ。なるほど、確かにね」
「ちゃんと披露できて良かったよね」
話しているうちに、だんだん心が落ち着いてきた。
宮近くんが話しかけてくれて助かった。
あのままでいたら、気まずくてたまらなかったから。
試合はそのままうちのリードで展開していき、ラスト３分のところで追加点が生まれた。
その追加点も元太くんのアシストから生まれたゴールで、元太くんは１ゴール１アシストという素晴らしい結果を出したのだった。
「すごかったね、元太」
「ゴールシーン、海人もなんとか見れて良かったな」
「うん。でもみんなと一緒に見たかったなぁ」
海人くんは電話が長引いて、戻ってきたのは最初のゴールの少し後だった。
これから事務所に向かうことになっているらしく、今日はここでお別れになった。
松倉が連れてきた女の子とは、すぐ近くにいたにも関わらず、あれから一度も顔を合わせることなく終わった。
というより、私が避けてしまった。
勢いとはいえ、あんな大失態を目の前で見せてしまって、申し訳なさと恥ずかしさで、とても顔を見ることができなかった。
頭の中も、胸の奥のほうも、いろんな感情が混ざり合って、なんだかぐちゃぐちゃだった。
「俺、送ってくから」
「うん。また学校でね」
彼女を送っていくという松倉と、笑顔で送り出す宮近くんとの会話を横で聞きながら、私はさっき宮近くんに尋ねられたことを思い出していた。
松倉と海人くん、いなくなってほしくないのは......どっち？
「じゃ、俺らも帰ろっか」
「.......うん」
最後に残った宮近くんと私とで、試合会場を後にした。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
