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*続36
咄嗟に目を閉じて、唇に触れた体温を受け止めた。
そのまま、大きな手が私の頬に添えられ、ゆっくりとずれて耳たぶを撫で、首の後ろへと移動してうなじをなぞる。
「逃がさない」
そう言われているみたいに思えて、体が固まった。
何が何だかわからなくてじっと堪えていると、触れていた唇の隙間から温かい感触の何かが伸びてきて、閉じていた私の唇をこじ開けた。
それが海人くんの舌だとわかった瞬間、固まっていた体が、火をつけられたように熱くなった。
「......いやっ！」
気づいたら、海人くんの手を夢中で振り払っていた。
「...............ごめん」
驚いたように目を見開く海人くんと目が合って、我に返る。
「あ......ご、ごめんなさい」
「いや、俺のほうこそ......」
「でも.......でも私、つき合ってないのに、こんなこと.......」
こんなこと、できない。
そう思ったら、体が勝手に反応していた。
まだ胸がドキドキしている。
「うん、そうだよね......ごめんね」
自分の髪をくしゃくしゃっとして、海人くんが小さく笑う。
「ごめん。......嫌いになった？」
私が黙って首を横に振ると、「良かった」と、ほっとしたようにまた笑う。
海人くんは、やっぱりずるい。
嫌いになんてなれるわけないのに。
「かわいいなって思ったら.......つい」
「つい......？つい、そういうことするの？」
「そうじゃないけど」
明らかに困った顔をする海人くんに、胸がズキンと痛んだ。
よくわからない代わりに、正直な人。
自分の思いを隠そうとしないところは、嘘のつけない松倉の正直さとは、少し違う。
いつのまにか、部屋には重苦しい空気が流れていた。
せっかく淹れてくれたコーヒーも、たぶん冷めてしまったのだろう。
さっきまで漂っていたいい香りが、すっかり消えている。
「私.......帰ったほうがいい、かな」
「え？......なんで？」
「海人くんがそういうつもりだったんなら.......」
「違うよ、本当ごめん！」
慌てているのか、海人くんの声が急に大きくなった。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
