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「そう、すごいの。高校のときからうまくて目立ってたんだよ」
「なるほどね」
「海人くんも行ける？試合」
「うん。行くよ、勿論。ちゃかも行けるって」
「それじゃ、みんなで思いっ切り応援しようね」
元太くんなら、きっと活躍するだろうな。
そしたらいよいよ、プロ選手になる日も近づくってことか。
今のうちにサインでももらっておこうかなぁ......なんて。
「でも本当......羨ましいなぁ」
コーヒーの湯気の向こうで、海人くんがしみじみと言う。
「俺も早く決めなきゃ。将来のこと」
「......やっぱり行くの？専門学校」
「うん。そうしようかなって思ってる」
「そっか......」
元太くんのことでついさっきまで膨れ上がっていた幸せな気持ちが、一気に萎んでいった。
海人くんが大学を辞めるかどうか、まだ聞いていない。
聞いてみようと思ったこともあったけれど、答えを知るのが怖くて、私からは何も聞けずにいた。
「でもそうなると.......大学は辞めることになると思う」
「そう、だよね......」
「うん......」
海人くんが小さく頷いたきり、どちらからともなく沈黙した。
海人くんが自分の希望通りに進むのなら、それは当然の選択で。
勉強したいことができて、そのために別の学校に行く。
大学と両立するという手もあるかもしれないけれど、学費や時間のことなど現実的に考えたら、あまり得策ではない。
何もおかしなところなど見当たらない、ごくごく自然の流れだった。
「.......Aちゃんはどう思う？」
海人くんが言う。
「俺、大学辞めてもいいと思う？」
「......海人くんがそうしたいなら......」
だって、そうとしか言えない。
彼女だったらまだしも、私は海人くんの何でもない。
「連絡だって取れるし、こうやって会えるのにさ、」
「え、うん」
「こないだみたいな、Aちゃんとカフェテリアでランチする時間も無くしたくないな......って思っちゃってて」
コーヒーカップをそっと避けて、海人くんがテーブルに身を乗り出してきた。
そのまま、ゆっくりと顔が近づく。
じっと見つめられて、身動きが取れない。
「俺、欲張りかな？」
「そんなこと.......」
「俺のこと、よくわかんないやつって思ってる？」
「.......」
思ってるよ。
そう言おうとして言えない私の唇に、海人くんの唇が触れた。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
