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待ち合わせ場所までの道程を歩いていると、上着のポケットの中でスマホが鳴った。
画面を見ると、珍しい人からの着信で。
立ち止まって通話ボタンを押すと、「もしもーし！」と元太くんらしい元気のいい第一声が流れてきて、思わず顔が綻んだ。
「もう、ちゃんと聞こえてるよぉ」
『あっ、ごめんなさい』
「ふふ。電話なんて珍しいね」
『そーなんすよ！どうしてもAさんと話したくて』
そう言う声が、一層弾む。
『前に言った、来週の試合の件、覚えてます？』
「うん。覚えてるよ」
『良かった。絶対見に来てくださいね！』
「あー、うん......」
瞬時に余計なことを考えてしまって、変な返事になってしまった。
行きたいけど......その試合会場には、きっと松倉もやってくるだろう。
大事な試合があるからできれば見に来てほしい、と元太くんに言われたのは、まだ松倉と気まずくなる前。
「きっと行くよ」と軽く返事をしてはいたけれど、そのときと、状況が少し変わってしまった。
『ここだけの話なんすけど......実はその試合、プロのスカウトが見に来ることになってて』
「スカウト？」
『はい。その試合で活躍できたら、俺、契約してもらえるかもしれなくて』
「え......！本当......！？」
聞けば、元太くんには今、とあるプロチームから声がかかっていて、今度の試合の内容が契約を結ぶかどうかの判断材料とされるらしかった。
契約が正式に締結されれば、卒業を待たずにプロ選手となる。
プロ選手となれば、当然、プロリーグの試合にも出られるかもしれない。
これがとんでもない話だということは、そういう事情に詳しくない私にでも、わかる。
『だから、Aさんにも見に来てほしくて』
「それって......声をかけられるだけでも相当なことだよね？」
『そう、まじでチャンスだと思ってて！大好きな人たちの応援があれば、絶対イケると思うの。俺、プレッシャーがあるほど頑張れるタイプだから』
「そっか......うん、わかった。必ず見に行くね」
これはもう、松倉がどうとか言っている場合じゃないや。
かわいい元太くんの将来に関わるのだと思えば、私でよければ是非力になりたい。いや、ならなければ。
『それで......クラさんも来てくれることになってるんだけど......』
元太くんの声のトーンが急に下がった。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
