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( ﾏﾂｸﾗ
*続33
「お、もうこんな時間」
テーブルに伏せてあったスマホを見て、閑也さんが声を上げた。
「そろそろ帰ろっかな」
「ふたりとも泊まってけば？」
「んー、でも明日早番だしなぁ」
閑也さんが帰るなら、俺も一緒に出ようかな。
しめさんと閑也さんが話している横で、なんとなく帰り支度を始めていると、不意にリビングのドアの向こうから物音がした。
「え......なんか音した？」
「ちょっ......まさか泥棒？」
「それともオバケ？？」
不思議に思って、３人してそっちのほうを見た。
すると、ドアは向こう側から静かに開かれて、思わず息を潜める。
「.....あ、やっぱり」
「あれっ？泊まってくるんじゃなかったの？」
ドアを開け、リビングに入ってきたのは、今日は帰ってこないはずのAだった。
「玄関に靴がいっぱいあったから、きっとしーくんが来てるんだろうなーと思ったけど」
「おじゃましてまーす」
「松倉もいたんだね」
「......うっす」
気まずさに、思わず目を逸らした。
しめさんはまだ「あれー？」とか言っている。
「てっきり泊まって来るんだと思ってた」
「私、泊まるなんて言ってないけど」
「え？そうだっけ」
おいおい、まじかよ。
しめさんが「Aはいない」って言ったから、俺はここに来たのに。
「元気だった？」
「うん。結婚が決まったんだって。その報告だった」
「え、まじ？すごいね」
脱いだ上着をハンガーにかけながら、Aはしめさんと話していた。
おそらく、仲がいいという親戚の話だろう。
今日は実家でその人と会っていたらしいから。
途中で閑也さんも会話に参加し始めたので、その隙に、ソファーの上に置いてあった上着を羽織った。
「......俺、先に帰ります」
「え？」と、しめさんが振り返る。
Aと閑也さんの視線もこっちを向いていたのはわかっていたけれど、気づかないふりをして、立ち上がった。
「お邪魔しました。また、店で」
「あ、うん。気をつけてね」
当惑気味のしめさんの声を背に、そそくさとリビングを抜けて、玄関の外へ出た。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
