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あの遊園地の日から、Aのことは、避けるしかなくて。
近づくたびに強くなる「まだ忘れられない」という感情と、「もう忘れなきゃ」という理性。
そのふたつが主張を譲らなくて、自分でも辟易していた。
無理にでも断ち切らなければ、また苦しむだけだとわかっていた。
だから、あれは、俺の部屋で喧嘩したときに続く、二度目の八つ当たり。
「まつくはどう思ってるの？あの子のこと」
グレープフルーツサワーの缶を傾けていたしめさんが、俺をじっと見て言う。
「好きなの？」
「......好きですよ、バイト仲間なわけだし」
「なにそれ。そーゆう話じゃないでしょ」
「だって、急にそんなこと言われても......」
「じゃあさ。Aのことはもういいの？」
天然というか、無遠慮というか。
相変わらず、悪気なく、思いっ切り傷をえぐってくる。
「俺ね。Aがしずとつき合うって聞いたとき、しずなら......って賛成したの。しずのこと、俺も大好きだし」
「え、なに。照れるじゃん」
「でね。まつくだったら、もっと賛成」
不意に微笑まれて、ドキッとした。
「だって、ずっと見てたからわかるもん。まつくのその気持ちって、本物じゃん？」
「......」
「まあ俺ってこんなんだけど、妹のことは何より大事に思ってるんだよね。だから、まじで幸せになってほしい、って自分のこと以上に思ってるし」
「そう、ですよね......」
「まつくだったらきっと、いつまでもAのこと大好きでいてくれるんだろうなぁ、って。そう思ってたんだけどな......」
俺だってそのつもりだった。
俺ならきっと、いつまでもずっと、Aを笑わせてあげられる、って。
振り向いてくれるまで、いつまでも待つつもりだった。
それまでずっと、好きでいるつもりだった。けど......。
「......ま、仕方ないよね。こういうことは、ね」
「そうだよ。松倉だって頑張ったんだからさ」
「だね。どうなるにしても、これからもよろしくね。あんな妹だけど」
ポン、と肩を叩かれた。
俺の肩に触れているその手から、しめさんの優しさを痛いほど感じて、せつなくなった。
俺は、これから、どうしたらいいんだろう......。
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えみゅ(プロフ) - ターンカッピさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです☆これからも引き続きよろしくお願いします。 (2023年2月22日 12時) (
レス) id: 811416b436 (このIDを非表示/違反報告)
ターンカッピ(プロフ) - つい最近読み始めて最新話まで一気読みしたのですが、えみゅさんの文章の書き方が読みやすくて好きです(*´∀｀*) (2023年2月22日 2時) (レス) @page31 id: 9f8ba39594 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年2月7日 22時
