検索窓
今日:16 hit、昨日:2 hit、合計:22,741 hit

28 ページ42

( A

*
*
*








最後に来たのは、いつだろう。


小学校の低学年か、もっと前?


もしかしたら、ちょうど、海人くんに出会った頃かもしれない。






とにかく、久しぶりだった。


久しぶりすぎて、逆に初めてみたいな、新鮮な気分だった。






「どちらの手がよろしいですか?」






入口で尋ねられ、一瞬考えてから、左手首を差し出した。


リストバンド型のフリーパスをぐるりと巻きつけられ、「なくさないようにお気をつけくださいね」と念を押される。




隣では、海人くんが同じようにパスを巻かれている。


左手首に、おそろいの、明るい緑色。


顔を見合わせて笑うその顔は、どこかやんちゃな子供のようだった。






「よし、行こっか」

「うん!」






男の子とふたりで遊園地って......考えてみたら、初めてだ。






ゲートを抜けて、フリーパスと一緒にもらった園内マップを広げた。


ふたりで覗き込んで、広い園内をできるだけ無駄なく歩くための作戦を練る。




ジェットコースターには乗りたいね、という意見は既に一致していたから、3種類あるうち、まずは腕試し感覚で一番小さいコースターに乗ってみることにした。


目指す場所が決まったら、足取りも自然と弾んだ。






「やっぱテンション上がるなー」






その言葉通り、心なしか、海人くんの声はいつもより高い。






「しかも晴れてるし」

「あったかいしね」

「ね。めっちゃサイコー」






ニコニコ、嬉しそうな顔を見ていると、私まで嬉しくなる。


こんな子供っぽいところもあるんだ......なんて、海人くんの知らなかった部分を、またひとつ知った気分で。






「一緒に来てくれてありがとね」

「こちらこそ。連れてきてくれてありがとう」

「ほんと、如恵留くんに感謝だね」






チケットをもらったから、と海人くんに誘いの連絡をもらったとき、最初は戸惑った。


どうして私を?という疑問がまっさきに湧いてきて、どうしても素直に喜べなかった。




だけど、そんな自分をつまらないとも思った。


考えすぎて動けないでいるのは、動いて後悔するよりも、何よりも、きっとつまらない。






実際、ここへ来てみたら、そんな戸惑いも一気に晴れてしまった。



今日の空と同じように、海人くんの笑顔が、まぶしいから。










.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
120人がお気に入り
設定タグ:travisjapan , 松倉海斗 , 中村海人   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:えみゅ | 作成日時:2023年1月13日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。