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「そんな落ち込むんなら、仲直りしたいですって早く連絡すればいーのに」
「そんなこと言ったって......」
「たぶんだけど。たぶんだけどさ、Aさんも同じこと考えてると思うよ」
私のせいだ、って。
きっと今頃、泣いてるよ。
「だってふたりは似てるんだから」
「......海人が言ってたんだよな、それ」
「そういえば飲んでるときにさぁ、海人くんに電話があったよ。女の子から」
「あいつ、やっぱモテるんだな」
「でも出なかった。それより、ふたりはちゃんと帰れたのかなぁって気にしてた」
俺の見たところ、海人くんは海人くんで、Aさんのこと気になってるんじゃないかな。
Aちゃんてかわいいよね、とか言ってたし、俺ちょっとタイプなんだよね、とかも言ってたし、今度デートするんだよね、とかも言ってたし、それから、それから.......
って、こんなん絶対ダメじゃん。
クラさんには言わないほうがいいやつだ。
好きな人とその好きな人がいい感じになるかも、なんて知ったら、ますます落ち込むだけ。
「.....あ、鳴ってる？」
「ん？あ、俺のスマホだ」
テーブルに投げ出してあったクラさんのスマホが震え出した。
クラさんはダルそうにそれを引き寄せて、ダルそうに確認して、そして突然、「うわっ！」と叫んだ。
「ちょ.......今度は何？」
「Aからメッセージが来た」
「え？なんて？」
「"昨日はごめんなさい。ちゃんと話したいから時間とってくれないかな？"」
「ほらぁ。俺の言った通りじゃん！」
緊張した表情でメッセージを読んだ後、クラさんはスマホを目の前に置いて、考え込むように腕を組んだ。
「話って......何言われるんだろ」
「んー。もうつきまとわないでください、とか？」
「つきまとってねーし！」
「ははっ。冗談だって、じょーおーだん！」
すぐ鵜呑みにして、すぐムキになるんだから。
どっちが年上かわかんねーな。
まあ、そこがこの人の愛すべきところなんだけど。
「でも連絡くれただけでもよかったんじゃね？」
「まあ......そうだよな」
「クラさんと変なふうになったままでいるのはイヤだってことだよ」
「うん......わかった」
意を決したように頷くと、クラさんは、すぐにAさんに返信した。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年1月13日 22時
