検索窓
今日:23 hit、昨日:2 hit、合計:22,748 hit

. ページ11

.





あの後、海人くんともう一軒だけ行った。


ふたりで飲んでいる最中、どうしてもクラさんとAさんのことが気になって、海人くんがトイレに立った隙にクラさんにメッセージを送った。





" 帰れた?"って、ひと言だけ。


結局既読スルーだったから、どうしたんだろうと思ってはいたけれど......なるほど。


俺からのメッセージが、クラさんの抑止力になっていたとはね。






実を言うと、ほんの少しだけ、そういう期待がなかったわけじゃなかった。



あんなふうに無理にでもAさんと海人くんを引き離さないと、ふたりきりにはなれないだろうからと、俺なりに気を回したつもりだった。




だから、まあ、これで良かったのか......なんなのか。







「俺......もうやめたほうがいいんだよな」







クラさんが言う。







「最初からふられてんのに、ずっと聞こえてないふりしてて......それなのに、全然こっち向いてくれないからってキレるなんて、まじで最低」

「でもさ、そんだけ好きだってことじゃん?」

「そうだけど......」






言うのは簡単だけど。


心はそんなふうに割り切れるものじゃないって、外野で見ているだけの俺にだって、よくわかる。







「全部俺が悪いんだよ。俺がもっとちゃんと現実見てたら、こんなことには......」

「どっちが悪いとかいう話じゃなくない?」

「いやっ!俺のせいなんだって......」

「あーはいはい。じゃ、もうそれで。悪いのはクラさんで。決まりね」

「んだよっ、その言い方!こっちは真剣に悩んでんのに!」






クラさんがテーブルに前のめった振動で、氷水入りのコップが一瞬、揺れた。





ピュアなのはいいんだけど......


本当、生真面目すぎ。






「もう、うるさいなー。自分がそう言ったんでしょーがっ」

「いや、だけどさぁ......」

「じゃあAさんだ。Aさんのせいでこうなったんだ」

「おまっ、」

「Aさんの曖昧な態度がクラさんを勘違いさせて、ズルズルとここまできてしまった。これでいい?」

「違う!Aは何にも悪くなくて、俺が......」







あーもう。めんどくせぇ。



どっちにしろ、Aさんのことは庇うくせに。










.

.→←19



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
120人がお気に入り
設定タグ:travisjapan , 松倉海斗 , 中村海人   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:えみゅ | 作成日時:2023年1月13日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。