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( A
「わあ、広いね！」
大きなアウトレットモールに到着して、俄然テンションが上がった。
「んと、どこに行こう？」
「いろいろ入ってるね。迷うなぁ」
「Aは行きたいとこあるん？」
「えぇっとねー...」
入口に立っているマップを眺めて、どこに行こうかとひとりでワクワクしてしまう。
そんな私の後ろから、男子ふたりは静かにマップを覗き込んでいる。
行きたいと言ったくせに、実は特に買う予定のものはないんだけど...なんだろう、この使命感にも似た感じ。
いくつものお店が並んでいるってだけで、きっとかわいい服やアクセサリーがたくんあるんだろうって想像しただけで、嬉しくなっちゃう。
女子ってそういうものだよね。
「...あ、そうかぁ」
頭の上に、紫耀くんの声がした。
「ついこないだハロウィンが終わったと思ったら、次はクリスマスだもんね」
「え？あ、本当だ...もうそんな時期なんだね」
「それにしても早ない？なんか季節感バカになるよなぁ」
私たちの目線の先には、大きなクリスマスツリー。
店舗の入口に立って、やってくるお客さんを歓迎しているみたい。
「そうだ。プレゼント交換しない？」
パッと笑顔になって紫耀くんが言う。
「あのツリーを見てたらなんだかクリスマスの気分になっちゃった。３人で来た記念も兼ねて、予算を決めてさ」
「うんうん」
「それぞれバラバラに見て回って、選んだプレゼントを後で交換するの」
「いいね！１時間後に待ち合わせ、とかにする？」
「そうしよう。廉もいいよね？」
「ん。わかった」
気兼ねなく受け取れるよう、予算を1000円と決めて、私たちはバラバラになった。
待ち合わせは１時間後、入口のツリーの下。
プレゼントは３人でグルグル回しながら交換するから、誰に誰の物が当たるかはそのときのお楽しみ、ということになった。
よくわからなかったワクワク感に目的ができて、ますます気分が上がった。
私の選んだプレゼントは、たぶん、ふたりのうちのどちらかに当たるよね。
男の子がもらって喜ぶ物って、何だろう？
あのふたりの好きな物は...何だったかな？
そんな楽しい疑問が頭の中を支配して、私の足取りを軽くしてくれた。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月29日 23時
