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ふと、横から聞こえてきたAのくすくすとした笑い声で、我に返った。
それは紫耀も同じのようだった。
「ほんと仲いいね。兄弟みたい」
「はは...そう、かな」
「そんなことないんちゃう？」
「あ、ねえ、おいしい！ふたりも飲んでみて」
Aに促されて、紫耀とごちゃごちゃ言い合っている間にほどよい熱さになったカフェオレをひとくち、口に含んだ。
ミルクの甘さの後に、コーヒーの芳醇な苦味がほのかに舌に残る。
岸くんの店で飲むのとはまた違った興味深い味わいで、評判がいいというのも頷けた。
嬉しそうにカップに口をつけるAの表情も、満足しているということを、言葉を発する以上に表していた。
「本当に素敵なお店だね。外観も写真の通りだし、まるで絵本の中に入ったみたい」
「だね。Aちゃんに喜んでもらえてよかったよ」
「連れて来てくれてありがとう。廉くんも一緒に来れてよかったね」
「そやな。今度は俺もどっか探しとくわ」
俺の言葉に、紫耀がじろりと視線を向けてきた。
「...廉がそんなこと言うなんてめずらしいね」
「そお？俺やってAの喜ぶ顔見たいし」
Aへの気持ちを自覚したからには、俺だって、黙って見ているわけにはいかない。
紫耀より、誰より、俺が一番喜ばせてあげたい。
...なんて、我ながら恥ずかしげもなく思ってしまう。
変わっていく自分がちょっと怖くもあり、不思議と嬉しくもあった。
「...まあいいや。この後どうする？まだ帰らなくても大丈夫でしょ？」
空気を変えようとしたのか、紫耀が笑顔をつくって言う。
「少し行った先にアウトレットモールとかあるみたいだけど、行ってみる？」
「あ、私行きたいな。最近買い物に行けてなくて...」
「よし、じゃあもうちょっとゆっくりしたら行ってみよっか」
「うん」
無邪気に笑うAの目に、俺はどう映っているのかな。
好きだと告げた紫耀のことは、どう思ってる？
岸くんのことはもう忘れられたのかな...。
聞いてみたいことがたくさんありすぎるのに、その笑顔を見ているだけで、胸が苦しくて、何も聞けそうにない。
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しばらくお待たせ致しました..
またゆっくり更新していきますので、宜しくお願い致します☆
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月29日 23時
