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「もう少しで１時間経つからさ、決まってるんなら買っておいでよ」
「うん、そうする」
「廉もね」
「せやな」
紫耀くんと廉くんとまた別れて、プレゼント候補の元へと急いだ。
簡単にラッピングをしてもらったプレゼントを手に入口のツリーの下に戻ると、ふたりは既に到着していて、私が最後だった。
ふたりとも、手には、思い思いのプレゼントの品。
「これで揃ったな」
「じゃあ、そこ座ろっか」
中庭に点在しているテーブルとベンチに移動して、さっそくプレゼント交換をすることにした。
紫耀くんがスマホで選んだのは、子供の頃によく聴いた、定番のクリスマスソング。
耳にするだけで私たちを一気に童心に帰らせてくれる、懐かしくて温かい曲だった。
「曲が終わったときに手元にあった物が自分の取り分ってことで」
「取り分って。なんか泥棒でもしてきたみたいな言い方やな」
「ふふ。本当だね」
「よし、じゃあ始めるよー」
♫〜♫〜
曲が始まり、リズムに合わせて、右から左へと流す。
プレゼントがグルグルと回っていく様を、３人とも笑顔で見つめた。
こんなことするの、小学生以来かな。
そうだ、思い出した。
あのときもらったうさぎのぬいぐるみ、ずーっと大切にしてたっけ...。
楽しくて、いつまでもこうしていたい気分。
大人になった今だからこそ、こんなにウキウキしてしまうのかも。
「...もうすぐちゃう？」
「だね。あとワンフレーズ」
「あ、ねえ、ちょっと早い！」
「終わっちゃう〜。急げ急げ〜」
「待て待て！なんで急ぐん？」
それから少しして、曲が止まった。
紫耀くんには廉くんの、廉くんには私の、私には紫耀くんの選んだプレゼント。
みんな愛おしそうに、手元に残ったそれぞれの品を開封する。
廉くんが選んだのは、バスソルトのセット。
運転で疲れているであろう紫耀くんにはぴったりだ。
紫耀くんは、くすみカラーがおしゃれなマグカップ。
カフェオレがきっかけだった今日の記念に、と考えたらしい。
私は、ちょっといいリップクリーム。
この"ちょっといい"というのが私なりのこだわり。
自分では買わないであろう、ちょっとだけリッチな気分になれる物をチョイスしたつもりだ。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月29日 23時
