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「かわいい...」
「よくつけてるネックレスにも合いそうやん？」
「そうだね...」
思わず見惚れながらそう答えて、ふと不思議に思った。
私のネックレスなんて、いつのまにそんなところまで見ていたのだろう？
「...よし、これにするわ」
「え？」
「俺からのプレゼント」
「え...？？」
呆気に取られている私をほっておいて、「すいませーん」と廉くんが手を挙げる。
すぐにレジでお会計をしていた店員さんが気づいて、「少々お待ちください」と目配せをしてきた。
「プレゼントって？...誰に？」
「もちろん、おまえに」
「え？？」
慌てる私のことなんか構わず、廉くんはさっきからずっと微笑んだまま。
「待って、なんで私に？」
「だって似合いそうやん」
「いやそうじゃなくて...」
こういうとき、廉くんのいつもの飄々とした感じがとても困る。
意味がわからない。
こんな素敵な物、そんなに急にもらえるわけがない。
「まあ、せっかくのクリスマスやしな」
「そんな！いいよ、後でプレゼント交換するんだし」
「俺からのが当たるかわからへんやん」
「そうだけど...」
「ええやん。もらって？」
「でも...」
「レポートのお礼もまだやったし。...Aにはほんまに感謝してる。だからお礼くらいさせて」
そんなふうに言われたら、そんなふうにまっすぐに見つめられたら...もう断れない。
「...わかった」
「ん。それでよし」
「すみません、お待たせ致しましたー」
店員さんがやってきて、テキパキとショーケースの鍵を開けた。
「こちらですね？」
「はい。ちょっとつけさせてもらってもいいすか？」
「もちろんです。...どうぞ」
「あ...はい」
廉くんが指差したリングを、店員さんが私の前に差し出してきた。
手に取ってみると、そのかわいらしさに改めて胸が高鳴る。
「つけてみて」
「うん...」
「...お、ぴったりやな」
私の左手の小指に収まったそのピンキーリングを見て、廉くんが満足そうに声を上げた。
そのままお会計をしてもらって、紙袋を廉くんに手渡された。
リングと専用の箱が入っているだけの紙袋は軽いのに、受け取った手にずっしりと重みを感じて、思わず緊張した。
大好きなブランドのアクセサリーが、またひとつ増えた。
私にとってこの紙袋は、ただそれだけのこと、ではなくて。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月29日 23時
