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話が読めずに焦る俺に対し、大倉はじっと耐えるようにして聞いていた。
横山くんのその表情や声から、内側に渦巻く苛立ちがビシビシと伝わってくる。
「前に言うたよな？丸の引っ越し先、俺の知り合いのスタッフさんと偶然一緒のマンションやったって」
「え...大倉、丸んちに行ったん？」
咄嗟に顔を見ると、大倉は憮然として、黙ったまま。
「あのマンションに住んでる、おまえと会う可能性のある女の子って...ひとり思いつくんやけど」
「.....」
「おまえ...あかんで？」
「...送ってっただけやから」
観念したように、大倉がようやく口を開いた。
「怪我して病院におるって聞いて、俺たまたま時間あったから迎え行って、送ってっただけ」
「ほんまか？」
「それ以外に何があんねん」
「まだちょっかい出してるとか、そんなんちゃうよな？」
「...そんなんせえへんって。大倉やってわかってるよ。なあ？」
責められる大倉を見ていられず、たまらず俺が口を挟むと、大倉は俺を見て、口元に微かに笑みを浮かべた。
横山くんは腕を組み直し、「それならええけど」と息を吐いた。
「昔から知ってる人やし、情報漏洩とかそんなんは大丈夫やけどさ。俺が言うてんのはそういうことちゃうで」
「.....」
「おまえらのことに口出すつもりもないけどな。けど、あかんで。あの子はもうおまえの手を離れてるんやから」
「...わかってる」
「他人の...ましてや、仲間の彼女やからな。...おまえ、大丈夫やんな？」
「わかってるって」
俺に微笑んだのとは正反対の、拗ねたような顔で横山くんに言い返す。
兄に叱られた弟みたい...と言えば、かわいいものかもしれないけど。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月23日 22時
