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返信は何か返ってきているだろうか。
メッセージを確認しようと、テーブルに置いていたスマホを拾い上げると、玄関のほうでバタン、と音がした。
すぐにバタバタと足音が近づいてくる。
焦ったようにリビングのドアが開けられて、私は「あっ」と声を上げた。
「...Aっ、」
息を切らした隆くんが、笑っているのか泣いているのかよくわからないくしゃくしゃの顔で、そこに立っていた。
「A...」
「わ、」
「ほんまに...もうっ！」
呆気に取られている間に素早く駆け寄られ、ぎゅうぅっと抱きしめられた。
隆くんの腕の強さに、途端に息が苦しくなる。
「大丈夫？足だけ？他は何ともない？」
「う、うん...大丈夫...けど、」
「けど？？」
「苦しぃ...」
「あ、ごめんっ！...どっか痛むん？」
慌てて腕を離し、私の顔を覗き込んでくる隆くんに、「ううん」と首を振って微笑む。
隆くんはほっとしたように頬を緩ませて、そこでようやくいつもの笑顔を見せてくれた。
「そうかぁ...よかったわ、ほんまに...どんだけ心配したか...」
「うん、そうだよね...ごめんね...」
「ほんまに...まじで...よかった...」
何かを確かめるように、もう一度、しっかりと抱きしめられた。
体中に隆くんの体温を感じて、"ここにいられて本当によかった"と心から思った。
「病院、行かれへんくてごめんな。行きたかったんやけど...でも、その...」
「わかってる。隆くんの考えてること、私、ちゃんとわかるから」
「...でも、ごめん...俺...彼氏なのに...」
「大丈夫だよ、私だって彼女だから。彼氏の仕事の邪魔はしたくないもん」
はぁ、と隆くんの溜息が、耳の後ろで聞こえた。
「夫婦やったらよかったんかな...」
「えっ...？」
「こういうとき、隠さなあかんような中途半端な関係やなくて、ちゃんとみんなに認められた夫婦やったら...堂々と会いに行けたかもしれへんのに...」
ひとりごとのようにも、そうでないようにも聞こえる、その言葉。
今の私にとってはあまりに突拍子もない響きで、体が固まる。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月23日 22時
