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*17の続き。
部屋に入ったら、まず「無事帰りました」と隆くんに連絡。
それから洗濯機を回して、掃除をして。
窓を開け、新鮮な空気を取り込んだところで、やっと落ち着いた。
昨日の夜はここに隆くんしかいなかったから、様子はあまり変わっていない。
キッチンのシンクの中も、朝に使ったであろうコップがひとつ置いてあっただけで、私が出たときと殆ど同じ状態のままだ。
私がいないこの部屋で、隆くんはひとり心配し続けていたのだろうと思うと、いたたまれなくなる。
早く顔を見せて、大丈夫だよって言いたいけど...返信もないし、今頃本番中かな。
病室でずっと抱えていた眠気は、いつのまにか、そこまでひどくはなくなっていた。
車の中で少し眠ったからかな。
...寝顔を見られたのは、不覚だったけど。
ー試してるんちゃうよ。好きなだけ。ー
ふと、大倉さんの言葉が頭の中でリフレインする。
「好き」って言った。
あの、いつもの少し低めの声で。
「好きなだけ」って。
それって、まだ私のことを...ってこと？
(...やっぱり送ってもらうんじゃなかった...)
今更包帯の巻かれた足を睨んでも、どうしようもない。
判断の甘い自分が悪いのだ。
(そうだ、ピアス...)
ずっと気になっていたことを尋ねる余裕もなかったし。
おまけにキスまでされて...
どうしてこうなっちゃったんだろう。
こんなこと、隆くんに知られたら...
驚いた、では済まされない。
いくら彼が優しい人とはいえ、さすがに嫌われてしまうかもしれない。
それに、大倉さんが浮気したのは私のせい、って......。
(.........どうしよう...わけわかんない...)
とにかく、隆くんには知られないようにしないと。
最悪の事態を思って、深い深い溜息が出た。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月23日 22時
