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( r.m
*14の続き
「たちょにもいろいろ気ぃ遣わせてしまってるよな」
「そんなん...丸が気にすることちゃうやん」
「...そう言ってもらえるとありがたいけど」
もう今更どうしようもないことだけど、客観的に見たら、俺らの関係って不思議だと思う。
一番近しい仕事仲間でもあり、長年を共にする兄弟みたいなものでもあり、ひとりの女の子の"過去"と"今"でもある、大倉と俺。
決して後ろ指を差されることをしているわけじゃないけど、開けっ広げにもしていられない、微妙な事情。
いくら納得したつもりでも、毎日のように顔を合わせる中で、意識しないほうが難しい、というものだ。
明るく振る舞ってくれる大倉に救われて、年上のはずの俺より大人に感じられたことも、何度となくあった。
何でもないように笑っている裏側で、嫉妬に飲み込まれそうになる俺は、自分の小ささを痛感するばかりで。
彼女の話を持ち出したのは、ちょっとした出来心。
大倉がどんな反応をするのか、単純に見てみたかった。
彼女とどんな生活を送っているのか、それを知ることができれば、少しはましになるかな、って。
こんな嫉妬ばかりの俺でも安心できるかな、って思ったから。
実際は...安心できたかどうか、自分でもよくわからない。
「...丸はよう考えてるよな、いつも」
しみじみとした様子で大倉が言う。
「自分のことよりヒトのこと。自分がどうしたいかより相手がどう思うか。優しすぎんねん」
「そんなことないと思うけど...」
「そういうとこ、Aと似てるけどな」
本人は気づいていないだろうけど、Aの名前を出すとき、大倉は表情を変える。
懐かしんでいるような、慈しんでいるような。
何とも言えない、甘くて優しい顔をする。
(...別れる前と変わってへんやん、全然...)
そんな顔をされるから、不安になる。
もしかしたら本当は、今もまだ...って。
「似たもの同士で気が合うんやろな」
「Aはそうやけど、俺はほんまに何も...」
「気ぃ遣ってんのは俺よりおまえやろ？」
大倉の形の良い目が、じっと俺を見る。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2022年10月23日 22時
