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「明日、起きたらゲームしない?」
俺の足に自分の足を絡ませながら、Aが言う。
「いいけど。Aってゲームできんの?」
「できないけど」
「ふは。なんだそれ」
「だって、海人くんの好きなものは私も好きになりたいんだもん。海人くんが見てる世界を、もっと知りたいの」
「.....いいよ」
「嬉しい」
そう言って、俺の頭に手を回し、引き寄せて、キス。
甘い舌と舌とが出会って、溶けて落ちていった。
*
翌日。
先に起きていたAに揺り起こされて、なんとか目を開けると、もう昼過ぎで。
早く早くと急かされて、なんとか起き上がり、そこらへんに落ちていたシャツを着た。
そのまましばらく動けないでいると、更に急かされて。
何事かと思えば、「ゲームしよって言ったじゃん!」だって。
「本当、寝起き悪いよね」
「はいはい」
「そんなんでよく会社、遅刻しないね?」
「そりゃまあ、仕事だからね」
ぶつぶつ文句を言われながらも、PCの電源をオンにする。
明るくなったディスプレイに、ちょうどやりかけだったゲームのスタート画面が映し出されて、Aはわぁっと声を上げた。
「最近のゲームってこんな感じなの?」
「すっごく綺麗」と、ディスプレイに見入っている。
子供のような無邪気な表情が面白くて、そんなAに俺が見入ってしまう。
ディスプレイが放つ鮮やかさに負けないくらいに眩しくて、気づいたら見惚れていた。
ぼんやりと半開きだった目も、いつのまにかすっかり覚めていた。
「海人くんが見てる世界って、こんな感じなんだ」
「うん」
「いろんな色があって、キラキラしてて......こんなに素敵な世界だったんだね」
「もうひとつ、色が加わったよ」
「え?」と目を瞬かせるAの鼻先に、不意打ちのキスをした。
ディスプレイから流れる音楽が、祝福のファンファーレのように響き出す。
俺の見ている世界をこんなにも鮮やかにしてくれるのは、君自身の色だ。
真っ暗だった世界を抜け出したのは、君ひとりだけじゃなかったんだ。
連れ出そうとした俺のほうが連れ出されたのだと、今、ようやく気がついた。
俺の見ている世界の中に、君がいる。
それだけで、この世はもう、色とりどりの世界になった。
fin.
最後までおつき合いいただきまして、ありがとうございました!
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えみゅ(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます⭐️私もこのメンバーが好きで...またいつか書きたいなぁと思っちゃいました。虎といるときとはちょっと違ううみくん、かわいいですよね(^^) (4月30日 9時) (レス) id: bb58f65b86 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした!HGLのとくに好きな仲間たちだったので嬉しかったです☺️うみくんの後輩力は素晴らしいですよね!可愛がられる素質があるというか!そんな可愛らしさもお話にぴったりでした✨ありがとうございました! (4月29日 10時) (レス) @page43 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えみゅ | 作成日時:2024年3月7日 22時