. ページ34
.
「Aちゃんに好きだって言われたんでしょ？」
「えっ、と......」
「なんで知ってるの？って顔だね」
戸惑う俺を見て、海斗が微笑む。
それから、ふぅ、とため息をひとつ吐いて、「俺も言うね」と言った。
「俺ね、Aちゃんに告白するつもりだったの」
「えっ？」
「ホワイトデーのお礼だとか言って、元太たちと飲んだ帰り。海人が先に帰った後、俺とAちゃん、ふたりでタクシーに乗ったのね」
「.......」
「そのときに、ホワイトデーにふたりで会ってほしいって言ったの」
ホワイトデーにふたりで会うことができたなら。
そのときには、Aに気持ちを伝えようと思っていた。
海斗の口からそう聞かされたとき、身に覚えがあり過ぎて、複雑な気持ちになった。
Aが俺にしようとしていたことと、同じだ......。
「そしたらね。その日は会えないって言われちゃって」
「......」
「ホワイトデーに海人に告白するつもりだから.......って」
「告白する前にふられちゃったんだよね」と、ぎこちなく笑う海斗に、胸がいっぱいになった。
海斗がAのことを好きだということ。
それは想定していたけれど、告白の意思を固めていたことにまでは、考えが及ばなかった。
そして実際に実行に移そうとしていたこと。
全部、俺の知らないところで展開していたということ。
たくさんの情報が一気に押し寄せてきて、混乱しそうになる。
それ以上に、今の海斗の気持ちを思うと......胸が苦しくなる。
俺が何かを言えるような立場では、全然ないけれど。
「されたんでしょ？告白」
「......うん」
「で？何て返事したの？」
「少し考えさせてほしい、って......」
「え......なんで？海人も好きなんでしよ？」
「好きだけど.......」
「だったら、」
「海斗。俺はね？」
海斗と話さなければ。
海斗に許してもらわなければ。
海斗に認めてもらえなければ、Aとはつき合わない。
Aとこのままの関係でいたくはないけれど、海斗とは、このままでいたいんだ。
ずっとずっと、いつまでも"親友"と呼び合える俺らでいたいんだよ......それって、おかしいのかな。
「......おかしくないよ」
「海斗......」
「全然おかしくない。俺だって同じ気持ちだよ」
俺の顔をじっと見て海斗は言った。
その真剣な眼差しに、思わず泣き出しそうになるのを、唇を噛んで堪えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えみゅ(プロフ) - ayaさん» ありがとうございます⭐️私もこのメンバーが好きで...またいつか書きたいなぁと思っちゃいました。虎といるときとはちょっと違ううみくん、かわいいですよね(^^) (4月30日 9時) (
レス) id: bb58f65b86 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！HGLのとくに好きな仲間たちだったので嬉しかったです☺️うみくんの後輩力は素晴らしいですよね！可愛がられる素質があるというか！そんな可愛らしさもお話にぴったりでした✨ありがとうございました！ (4月29日 10時) (レス) @page43 id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えみゅ | 作成日時：2024年3月7日 22時
