. ページ17
.
寂しい、というのともちょっと違う。
元カレとはお互い納得の上で別れたし、つき合ったことも別れたことも、後悔していない。
ただ、どうしても次に進めない私がいる。
その原因が自分にあると知ったら......うみは何て言うのだろう。
「もう。私のことはいいから、自分のことを考えなよ」
「考えてるよ」
「別れる気はないんでしょ？」
「んー。どうしよっかなぁ」
そう言うと、うみはベッドにゴロンと身を投げ出して、見るからにダルそうに伸びをした。
いかにも男の子の一人暮らしっぽい、ワンルームの広くない部屋。
この部屋に、彼女も何度となく通っているのだろう。
そう思うと、せっかくの休日にただの幼馴染の私が彼女を差し置いてここにいることが、物凄い罪なような気がしてくる。
それにしても、あんな美人をつかまえといて、何が「どうしよっかなぁ」だよ。
まったく、いいご身分だなぁ。
心の中でつっこんだけれど、口にするとまた話が長くなりそうだから、そのまま喉の奥のほうに留めておいた。
私が元カレとつき合い始めた少し後、うみにも彼女ができた。
みんな同じ学校だから、それぞれなんとなく顔も名前もわかっていて、私が元カレとつき合い始めたと報告すると、うみは「あの、なんか普通のやつ」と彼を評した。
それに対して私は、うみの彼女のことは何も言えなかった。
明らかに私より美人で、スタイルも良くて、ふたり並ぶと、まさに美男美女で。
笑っちゃうくらいに、うみとはとてもお似合いの女の子だったから。
「どうしよっかなぁって何よ」
「なんかさ。思ってたのと違ったんだよね」
「え、ひど」
「違う。おまえのことだよ」
寝転んだ姿勢のまま、上目遣いで見つめられて、ドキ、とした。
言葉の意味が解読できずに、どう返していいかわからなくなる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：えみゅ | 作成日時：2023年3月25日 22時
