みせて / g.m ページ1
み せ て / g.m
カーテンの隙間から射す光に気づいて、目が覚めた。
ベッドサイドのデジタル時計が示す時間は、AM11:00。
あぁ......いつのまに、こんな時間になっていたの？
この後のことを考えるのが嫌になって、すべてから逃れるように、シーツを頭から被った。
すぐには動けないほど体が気怠いのは、単純な眠気のせい、だけじゃない。
「......ん......」
すぐ隣から、色気のある寝息が聞こえる。
寝返りを打ったのか、私の背中に何かが触れて、はっとした。
触れた部分が、じんわりと熱くて。
温かいというより熱いのほうがしっくりくるようなその体温に、胸がぎゅうっとなる。
眠っている人の体温って、こんなにも熱いんだ。
初めて知ったわけでもないのに、何も知らない子供のように、ドキドキしたりして。
恐る恐る首を傾けると、端正な寝顔が視界に入る。
私の背中に触れたのは、彼の露わになった肩から繋がる、男らしい掌だった。
目を覚ました私には気づかず、まだ夢の中にいてくれていることが、今一番の救いだ。
初めて見る寝顔は、起きているときより少し幼くて、ずっと見ていられたらいいのになぁって思った......けれど。
昨日の夜、元太くんとそういうことになった。
調子に乗って飲みすぎたとか、終電を逃したとか、もともと好きだった......とか。
いろんな要素が重なって、そうなってしまった。
そんなことをしたらどうなるか、なんて、考える余裕は１ミリもなかった。
だから今、私は、２日分の後悔をしているところだ。
たまに会って話したり、飲みに行ったり。
ただそれだけの関係だった元太くんのことが、ひそかにずっと好きだった。
元太くんは私のことをそういうふうに見てはいない、ということは重々わかっていた。
きっと私なんかより相応しい女の子が既にいるのだろうから、多くを望む気なんて、これっぽっちもなかった。
......なのに。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう？
昨夜私に触れた唇の味を思い出して、体が熱くなる。
どうしよう。
このままじゃ、私、もっともっと好きになってしまう......。
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作者名：えみゅ | 作成日時：2023年3月25日 22時
