#73 ページ31
タイミングとかタイミングとか、兎に角タイミングとかで、それが誰なのかは分かった。
恐る恐る画面を覗くと、やっぱり。漢字一文字。
ミヤオサムだ。
慌ててスマホが沈むベッドから離れた。
やましいことはない。......とも言いきれないけれど、迷惑というような感情はほとんどない。ただ純粋に、手の伸びない音だった。そして、相手が相手だった。
だってミヤオサム、ミヤオサムが。わたしに。
あまりに唐突だ。
ミヤオサムとは(彼に限ったことではないけども)全然LIMEしてないし、最近では学校でも話さないし。それ以前にあった希少な会話も、彼が楽しめる雰囲気をわたしがつくっていたかと問われれば、胸を張って言える。
ノーだ。絶対ノー。
しかもわたしは今しがた、自分でもうんざりする返信を彼にしたばかり。
＿＿どうしてそんなこと聞くの？＿＿
なんでもええやろがい！
まだ新鮮なイメージにグーパンチ。本当なら数十秒前のわたし自身におみまいしたかったところだけども、それは叶わないので。
鳴り続ける着信音のプレッシャーと、その発信元がミヤオサムだという事実と、これから待っているかもしれない未来。焦燥そしてパニック。
また風邪か！ 熱があるのか！ だからこんなにハイテンションなのか！
どうしようもないこの四面楚歌に、「うああ」だか「おふっ」だかよく分からない声が漏れて、取り敢えずクッションを投げた。
そのおかげなのか、どこかのクラシックの名曲着信音は止まる。
しかし。
ようやく諦めてくれたか、とほっと息をついたのも束の間。......また鳴り出した。
このまま渋っているか。
勢いがまま受け入れるか。
切るか。
「............うぅ、」
顔だけは、視界だけはできるだけスマホから離して、腕だけでベッドを探った。密やかに熱を帯びた白さと、振動に触れる。
じり、と額に汗が滲んだ。
どうしてわたしはここまで躊躇しているのか。ミヤオサムの問いかけに、わたしの低温に。どうしてその正体不明の惑いの中に、微かな期待が隠っているのか。
ぴりぴりと痺れの余韻、強ばった親指で画面をタップした。
着信音はちゃんと止まり、わたしの呼吸も詰まって吐き出して、経過。0.何秒かが、生々しい。
『＿＿＿＿もしもし、』
久しぶりで、落ち着いて、何かが込み上げてきて。
ミヤオサムの声。
さっきのわたしが感じた「期待」という言葉が、説得力をもって頬を熱くさせる。
「もし、もし......」
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しお(プロフ) - 大福丸◎さん» 遅れた所の話ではないほど返信が遅れてしまい申し訳ありません泣泣 本当に嬉しいです…今更になってしまいましたがコメントありがとうございました！ (2022年1月23日 23時) (
レス) id: 12c83b804f (このIDを非表示/違反報告)
大福丸◎(プロフ) - すごいよかったです！気づいたら３時間以上はこの小説読んでました笑 もー、本が出版されてたら買いたいレベルです！！笑 久しぶりにこんなにハマりました (2019年8月8日 21時) (レス) id: 4787af4ccb (このIDを非表示/違反報告)
しお - アオさん» いえいえ、こちらの配慮不足でもあるので......汗 こんな文章ばかりですが、良ければこれからもお読み頂けると嬉しいです！ (2018年8月1日 20時) (レス) id: 12b75cb48a (このIDを非表示/違反報告)
アオ - 了解です。何でもかんでも質問してすみません。 (2018年8月1日 18時) (レス) id: 9d036889eb (このIDを非表示/違反報告)
しお - アオさん» 曖昧な部分でもあるので、難しい場合は読み流して頂けると嬉しいです (2018年7月30日 16時) (レス) id: 12b75cb48a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しお | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=harushiomb37
作成日時：2018年5月6日 15時
