#20 ページ20
「......っ」
倒れたAは、地面に手をつけてゆっくり起き上がった。一連の動きに、弱々しい印象を覚える。
青い顔をしたAは まずうちらを怯えたように見て、それから逃げるように反対方向へ歩いていく。
＿＿嘘やろ、そのまま帰る気なんか。
「A、一人で帰んのは危ないって！」
うちの咎める声にAは足を止めた。
けれど、またすぐに歩き出す。
怒っとるんかな。そりゃそうよな。
だってうちら、立ち上がるの手伝わなかったもんな。
勝手に慌てて、驚いているだけで、Aに駆け寄ることもしなかったしな。
足取りの不安定なAの腕を、見かねたように侑くんが掴んだ。
そして その体温の高さを疑うように、Aの顔を覗き込む。
侑くんが何かを言った。
Aは何も反応しない。
侑くんは鮮やかな金髪を乱雑に掻きむしった。根元の黒がその間に見え隠れする。
「まなちゃん、体育館の中で待っとって。今日も送るわ」 侑くんが振り返り、早口で言った。
「え、侑くん、どこ行くの」 Aの腕を引いて歩き出した侑くんに、うちは固まった声を出す。
侑くんは疑いの目をうちに向けて、ぐったりした様子のAの背中を支えた。
「保健室」
何の感情も読み取れない、かといって淡々としている訳じゃない、複雑な声色だった。
すぐに侑くんはAを連れて歩き出した。
いつもの彼にはない、ぎこちなさが浮き出ている。
ずきずき。
心臓が痛むのを感じて、うちは自分を疑いたくなった。
こんなときでも、うちはAに嫉妬してんのか。
いつでも相手を優先させ、それを気付かさせないようにするA。
調子の良いことを言っておいて、結局自分本位なうち。
最初から勝負は決まっていたのやろか。
侑くんとAの歩く後ろ姿を、うちはただ黙って見つめるしかなかった。
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しお(プロフ) - 信者ですさん» ご意見有難うございます。読みにくさは私自身常々感じてきたことなので、己の文章や貴重なご意見に関して身の引き締まる思いです。しかし◯◯サイドという表現を敢えて避けた結果がこの構成なので、他の方法での改善を試みようと思います。ご意見有難うございました。 (2019年8月8日 18時) (
レス) id: 9e83b126f2 (このIDを非表示/違反報告)
信者です - 誰のセリフ、とか、誰サイドか、とか書いたらもっと読みやすいと思います！ (2019年8月7日 13時) (レス) id: ae560f4fe9 (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - しおさん» なるほど！ありがとうございます！ (2018年5月19日 0時) (レス) id: 9a8890df5f (このIDを非表示/違反報告)
しお - 天音さん» 確認のお返事、わざわざありがとうございます。更新もできるだけ進めていきたいです......質問の件ですが、フォントではなくて文字間隔を空けてます。『div#desc,#u_result{ letter-spacing:1px }』をカスタムに入力すればできると思います (2018年5月16日 15時) (レス) id: ea11491d2e (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - もう一つ質問なのですが、この小説に使われている文字フォントがとても素敵で、私も使って見たいのですが、幾分占いツクール初心者なのでどうやって変えているのかわかりません。もしよろしければやり方を教えていただけないでしょうか？長くなって申し訳ありません。 (2018年5月16日 5時) (レス) id: 9a8890df5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しお | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=harushiomb37
作成日時：2018年3月31日 18時
