宮ンズの幼馴染＃2 (ページ7)

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会えんようなったら ⑤ ページ7

Side 侑

「ハ？！鍵開いとるやんどういうつもりやねん！」

「うっさ。お前その声量でAに声かけんなや悪化するで」

Aが早退して、俺らは部活終わりにそのままAん家直行した。

んでインターホン一応押したけど、誰も出んくって
ダメもとでドアガチャガチャしたらこの様や。

玄関に無造作に転がったローファーが目に入って
ここまで身体引きずって帰ったAを想像する。

「顔真っ赤やん。しんどかったやろうな」

「着替えるの諦めとるし。Aのオカンら帰ってこん日に限って熱出すとはなぁ」

久しぶりに来た気がする、Aの部屋。

ベッドにもぐりこんで浅い息をするAがそこにおって
俺らはすぐに、その涙の痕に気づく。

「…何の涙なん」

「腹立つわ」

「何がやねん」

「俺らがおらんとこで勝手に泣くことにじゃ」

なぞったら、ゆっくり開く瞼

目、合ってボーっとしとる顔
間抜けな面が愛おしくて、自分のそんな感情に思わず笑ってまう。

そしたら「会いたなったから、夢に出てきてもうたやん」とか
意味の分からんことを言うけど

その瞳は、不安げに揺れとって

「離れた、ない」

夢や、思ってんねやろうな
夢やないとこんな風に言うてくれへんのやろか

それもまた、こいつらしいけど。

「…アホやなぁ」

「ちょっとニヤけとんの隠せてへんぞアホツム」

「お前かて同じ顔しとるわクソサム」

寂しい、思った。

俺とサムが生まれて初めて、明確に道を分けて
その先はきっと繋がっとるやろし
俺とサムはどこまで行っても双子やし変わらんけど

どこかでずっと、1個のボールを死ぬまで一緒に追いかけとると思っとったから。

じゃあAは？

きっと離れるほうが簡単や。
血も繋がらん、ただの幼馴染やと他人は言うやろうし。

でも、離したなかってん。

自分の中にそんな人らしい感情があるとは思えへんかった

大事とか
大切とか
愛おしい、とか

そんな存在と、いつか離れるかもしらんことが
離れる選択肢があることが、寂しかった。

ちょびっとだけな！