宮ンズの幼馴染＃2 (ページ18)

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1つの ⑨ ページ18

「俺なぁ、ほんっまにAんこと大事にしとったから」

「知っとる」

「…傷ついたんAのはずやのに、傷つけた自分に対しても傷ついとってん」

「…」

「腹も立った。ほんまにごめん。許さんといて俺のこと」

久しぶりに合う目
眉が下がる

夕日はあの日みたいに、侑を照らす

「許すも許さんもないやろ」

「？」

「やって私がなんとも思ってないやもん。それより避けてたことに対して謝るべきちゃう？」

「え」

「私が傷ついたとしたらそっちやねんけど」

ぽかん、とその口が開くから
その間抜け面に、私は思わず笑う

「大事や、思ってるんが侑だけやと思ってるん？」

そう聞けば、じわり、侑の目に浮かぶそれ

「…思わへん」

「うん」

「…避けてごめん。傷つけて、ごめん」

「ええよ。ハイこれで仲直りな」

引っ張られる腕
バランスを崩した身体は、侑に抱きしめられる。

「…ほんまにごめん」

「しつこい。他にないん」

「…好きや。大好き」

「知っとる」

「ずっと大事にする」

「今更やけどな」

背中をポンポン叩けば、一度だけ鼻をすする音が聞こえて
私はまた笑う。見んといて、って侑の声が聞こえる。

「…治としたかったんやろ」

「…」

「1秒でも長く、バレーボール。やから怒ったんやろ？」

あ、またや。
拗ねたときに突き出す唇。

「…アイツとするバレー、楽しいねんもん」

「…うん」

「今までやったら終わりなんか意識したことなかってん。でも、それがあるって分かってもうたから」

「…」

「それにサムにとって大事やないもんでも、俺にとっては大事やねん」

「うん」

「…やから、俺んこと庇おうとして自分を差し出したん、腹立った」

侑は確かに、興味のないことやものに対してはとことん「人でなし」やけど

「大事にする、って思うことよりも大事にされとる、って自覚することのほうが難しいなぁ」

「…せやなぁ」

その分、大事なものを誤魔化したりせんし、迷ったりもせんのやと思う。

「帰ろ。今日は侑だけ？」

「おん！二人っきりやで！手ェつなぐか？」

「なんで？」

「なんでて！ええやんけ！」