宮ンズの幼馴染＃2 (ページ17)

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1つの ⑧ ページ17

Side 侑

悔しかった。

「サム」

「なん」

「…俺に譲って」

練習終わり
片付けながら、片割れにそう言う

「…今日だけやぞ」

「ん」

Aに惚れとる後輩くんに、殴られたみたいに
目、覚めた気がした。

解散して
荷物ひっつかんで、駆けだして
外履き脱ごう思ってバタバタしとったら

「…あ、つむ」

俺とおんなじように、焦ったようにAは現れて

「ど、こ行くん」

「…どこって」

「俺お前に用事あんねん」

「…私も、侑に用事ある」

Aがいつも俺らを待ってる教室を目指す

その間、会話なんか一個もなくて
やけに騒がしい心臓に気づかんふりをして

「侑」

「ん、え」

「そこ座って」

「へ」

「はよ」

いつもAが膝抱えて座っとるそこ
有無を言わさん圧に負けて、しぶしぶそこに腰かけたら

俺を見下ろしとったAの手が、後頭部に回って引き寄せられた。

「…A？これヤバいんとちゃう？俺が」

「…侑のだいすきなAちゃん、やで」

聞き覚えのあるそれ

どんな顔で言うてんの？
そん顔見たいねん、見してや。

そう、思う心とは裏腹に、俺は安心して

気が抜けて
その匂いに包まれる中で
背中に腕回して、大事に抱きしめた。

「…侑のアホ」

「…おん。ごめん」

「人でなしのくせに気にしすぎやねん」

「お前に対して人でなしでおったことないやろ」

「ないけど！今は人でなしでええの！」

「急に声張るやんびっくりしたわ！」

そっと離れる

顔が見えて
その目に俺が映る