宮ンズの幼馴染＃2 (ページ16)

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1つの ⑦ ページ16

Side 侑

「あの、」

「…あー」

昼休みに自販機行こう思って、階段下りたところやった。

「君誰やっけ。あのー、あれや。Aに惚れとる子」

「です。少しええですか」

「…俺忙しいねんけど」

「ダサいとこ、見せんとってください」

ぴたり、歩く足を止めて
振り返ればじっと俺を見つめる目と目が合う。

「…何やて？」

「今の先輩ダサいです。Aさん悲しませてるん気づいてるくせに、なんで放ったらかしにするんすか」

「…」

「あん人は何ともないで、って言うけど。俺やったら絶対『なぁ、』」

「君に俺らの何が分かるん？」

そう、問えば口を結ぶから

「…しょーもな。口だけかい」

他人にとやかく言われるんが面倒で
それこそクッソどうせもええ正義感も嫌いやから、はよ自販機行こう思ったんに

「…ぜんぶ、先輩らのことやから。それだけは分かります」

「何の話？」

「あん人が言うカッコええも、しょうもないも、自慢も、ぜんぶ」

「…」

「…ぜんぶ、先輩らのことやねん」

「…せやろな」

「せやのになんで『大事なもん、傷つけたことある？』」

忘れられへん
離れへん

手に当たった、感触が

「今まで大事に大事にしとったもん」

「…」

「自分の手で、傷つけたことある？」

「…まだ、ないっす」

大事なもんは少ないほうやと思う。

バレーボール
家族
仲間

んで、A。

少ないからこそ、1つ1つ重みがあって
重みと同じくらいの「愛」があったと思う。

でも、あの日

「…せやったら分からんやろ。分かられても腹立つけど。もうええ？」

「良くないです」

「…あー、しっつこ『傷つけたんやったら』」

「…」

「傷つけてもうたんやったら、なおさら大事にするでしょ」

「…」

「これ以上傷つかんように。またちゃうもんから傷つかされんように」

「…」

「…俺やったら、ほんまに大事やったら、そうします」