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「あーもう、しゃーねーな。」
歩けそうにないので俺の背中に乗せると、重いから降ろせと暴れてきたけどすぐおとなしくなった。
そして、俺の肩口に頭を擦り寄せてきた。
おいおいおいおいちょっと待て、何してんの？！
酒とAの匂い、背中にAの体温、急に早くなる心臓。
あーーー、これは。これは確実に。
俺は、Aのことを好きだと気付いてしまった。
妹としてじゃなくて、一人の女の子として。
俺、一回振ってんじゃん、今更どーすんの。
先のない絶望が漂ったが、まずAを降ろすのが先。隣の家の玄関でインターホンを鳴らして、Aの母親に家を開けてもらい、Aのベッドに降ろして俺はさっさと家に帰った。
部屋に戻って飲みなおそうと思ったけど、なんかそんな気になれない。
俺があいつを好きになることになるなんて。
一年前は一ミリも考えてなかったな。なんだかわけのわからない変な気持ちになる。ずっと一緒にいた年下の女の子が、恋愛対象になるなんて思ってもなかったから。
ああだめだめ。酔いがまわってきた。
何も考えないように、明日帰るための早めのアラームをセットして寝ることにした。
アラームに起こされて、着替えて朝飯を食う。そして、昨日の段階で全くしていなかった荷造りを急ぎめでやる。毎回間に合うと思って前日にやらないで当日後悔すんだよな。
少しだけ持ってきていた洋服を鞄に詰めていると、玄関のドアが開く音が聞こえた。
「たく兄おはよ！昨日はごめんね！」
昨日のことなど全く気にしていないかのようにあっけらかんとしているAが入ってくる。
ほんとにな、どんだけ俺を振り回してくれんだよ。
まともに相手をするのがなんとなく気まずい俺は、
「ったく、手がかかるやつだよほんとに。」
作業の手を止めずに返事をする。そしたらAは、
「また冬休み帰ってきてね！」
と、それだけ言って帰ってしまった。
「あたぼーよ。」
と返事をしたけど、なんだかあいつの軽さと俺の悩みの重さに不条理を感じて仕方がなかった。まあ、あいつは一切悪くないんだけど。
それから親から預かったなんかいろいろ入った紙袋と、よく失くしがちなスマホと財布の確認をして、バス停へ向かう。
なんか、Aと離れるのが今までで一番さみしい感じがした。
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雪葉(プロフ) - junさん» jun 様 ありがとうございます！！励みになります涙 これからもよろしくお願いします！ (2020年10月1日 18時) (
レス) id: 9fa34ce2eb (このIDを非表示/違反報告)
jun(プロフ) - 前回に続き雪葉さんの書く文章は最高です！お気に入り作者さんに入れさせて頂きました！ (2020年10月1日 1時) (レス) id: 37d10c3172 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪葉 | 作成日時：2020年9月30日 23時
