Twilight (ページ31)

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行き場のない思い出ページ31

『すみません…』

ベンチで寝てしまったヨサンを

おじさんが家までおんぶしてくれた。

『ヨサン、ごめんね。早く家に入ろうか』

｢またね、ヨサン君。｣

YS「ん～…」

1度寝たらなかなか起きないヨサンの事だ。

無理に起こしてもぐずってしまうだろうし…

結局ベッドまで運んでもらい

園服のままのヨサンをベッドに寝かして毛布を掛ける。

『すいません…結局ここまで…』

「いいんだ、なんだか小さい頃のユノを思い出したよ…」

.
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おじさんが帰って一人になるとさっきの話の

抜けられない余韻が私を襲う。

帰り際、おじさんは私に

「何かあったら…」と

小さなメモを残していった。

×××‐××××‐××××

おじさんのものらしき電話番号

『私にどうしろって…』

忘れるだなんて

お揃いの園服を着たユノと私の写真

ユノから誕生日に貰った

お菓子のおまけみたいなネックレス

そして、あのピンクのサンダル。

この家だけでいっぱいあるのに

全部“無かったことに”するの？

私は？

無かった事になんて出来る？

私の過去からユノを消したら

私の過去だって白紙のようなものなんだよ

ユノが机の下から引っ張り出してくれなかったら

卒園までずっと一人で

小学校だって友達を作る勇気がなくて一人だったかもしれない

「ユノを苦しめる事になるなら思い出なんて捨てるよ」

そう言ったおじさんの顔を思い出す。

ユノと幼稚園で出会ったあの日から

色んな出来事があって

そんな思い出を私一人で背負うには重すぎる

この家に残るユノとの思い出を集めてみたものの

捨てる事なんて私にはやっぱり出来なくて

どこにも行く事が出来ない行き場を失った思い出達。

『誰か捨ててよ…私の代わりに』