Twilight (ページ30)

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白紙は白紙のままでページ30

- you side -

｢ユノには小さい頃の記憶は残っていない｣

おじさんは話終えると

小さく溜息をついた。

気が付くとまだ明るかった陽は落ちかけて

辺りは夕陽で照らされていた

この数時間で飲み込むことなんて出来ないぐらい

ユノの過去は残酷で、悲しくて

何も言う事が出来なくて…

でも、一つだけ

『おじさん…ユノは私の為に海に入ったの』

お母さんが買って来てくれたピンクのサンダル。

『嬉しくて、毎日のように履いてたから…』

海に流しちゃった時、大事な物なんでしょ？って

一生懸命取ろうとしてくれて

私も助けて貰ったのに。

この出来事が一生ユノを苦しめる出来事になるなんて

思っても見なかった。

『ごめんなさい…私のせいで…
ユノはずっと私を庇ってくれて…』

｢そうか…。ユノはそんな事話してくれなかったよ｣

『おじさん…私どうすればいい…？』

長い沈黙の後、

｢…今までのユノを忘れてくれないか…｣

すぐには理解出来なかった。
おじさんが何を言っているのか

『忘れる…？』

｢ユノに…会うなとは言わないよ。言える立場じゃない
ただ、思い出させないで欲しい。結局苦しむのはユノだから…｣

｢ユノとの思い出はもちろん僕にも残っているし、
君にとっても大切なものだろう。でもその事で
ユノを苦しめるなら思い出なんて捨てるよ｣

" 過去より今を大事にするよ "
ユノはまだここにいるんだから

ユノが居なかった間の白紙のページ

それは一切これからも更新される事は無いんだ。

白紙は白紙のままで。

きっとそれはとんでもない事をしてしまった私への罰

そして今できるユノへの最大限の謝罪。