先輩の彼氏、譲ってくれませんか3【瀬見英太】

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急いで帰らなきゃ



そう思った矢先にこれ



『ええええなんでええええ』



電車が止まっていた
タクシーで帰るならかなりの金額になるし
アルバイトの分際では到底払える金額ではない




『もぉついてない泣』




遅くなる、とだけメッセージを入れると
了解スタンプが直ぐに送られてくる




どこかで時間潰ししようかと駅を出たとき



白｢A？｣

『けけけけけけけんじろ！！』

白｢何してんの、寒そう｣




スーツに身を包んだ賢二郎がいた



コートにマフラー手袋耳あてと、
防寒対策しすぎってくらいしてるのは変わらない




おまけに私はマフラーさえも身につけてない()



溜息をつきながら賢二郎は




白｢風邪引かせたら瀬見さんに怒られるんだよ｣

『え』



ふわりと香る賢二郎の匂い
柔軟剤を変えたのか甘い匂いがする



白｢乗ってけよ、どうせ帰れなくて困ってんだろ｣

『車あるの！？』

白｢当たり前w｣




ふっ、と吹き出す賢二郎
美形は変わってないから人気あるんだろうなぁとか
おもう




耳あてを外した賢二郎の耳には
ピアスがあいていた




白｢どーぞ｣

『ありがとう』




賢二郎の車に乗り込んだ



白｢耳気になる？｣

『あっ、うん』




あんなにピアス反対派だった賢二郎がなんで？





白｢なんでだろーーね｣



眼鏡をかけて、エンジンをかけた賢二郎の目には
光が点ってなかった




白｢道案内しろよ｣




ゆっくりと車が動き出したと共に









私たちの歯車も動き出した

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