世界の終わりから (ページ12)

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12話ページ12

リサside

2人で並んで山道を歩く。

たくさん山菜を採る気で持ってきていたトートバックの中は、半分も満たされていない。

1時間くらいかけてこれだけしか採れないのか、と少し悲しかったけど、ダリルと久しぶりに2人きりで過ごせたことで私は満足していた。

「そういやお前、兄貴に格闘術教えてくれって言ったのか？」

なぜか少し眉間に皺を寄せ、面白くないような表情を見せる彼。

「うん、お願いした。即答で断られちゃったけど」

「お前の筋肉量じゃ意味ねぇだろ。そもそもなんで急にそんなこと言い出したんだよ」

そういやメルルにも似たようなことを言われた。

リサみたいなか弱いお嬢ちゃんに教えるだけ無駄だとかなんとか。

「だって、今の私ってただの足手まといじゃん」

彼らと一緒に過ごし出してから、ずっと思っていた素直な気持ちを告げる。

「だからせめて、ダリルとかメルルみたいに格闘術身につけれたら、ちょっとは頼りにしてもらえるかなって」

その言葉に、ダリルは呆れたようなため息をついた。

「リサ、誰もお前のことを足手まといなんて思ってない。んなこと分かってんだろ」

隣を歩くダリルを見上げると、予想以上の真剣な表情で少し驚く。

その真剣な瞳が、まっすぐ私に向けられていて、なぜか胸が高鳴る。

「ダリルは優しいね」

彼はいつも私が1番欲しい言葉をくれる。

「バカか」

嬉しさで笑顔になった私を見て、照れ隠しなのかわからないけどまたいつものように不器用な言葉を吐かれた。

ダリルとの距離がなぜかもどかしい。

風が通り抜けられるような微妙な距離で歩くダリルに、もっと近付きたいと思った。

それは、優しい言葉をかけられたからだろうか。

ウォーカーに怯える緊張した日々で疲れ、ただ人恋しくなってしまったからだろうか。

世界の終わりに救われて、ずっと一緒に過ごしてきたせいで彼に依存心を抱いてしまったのだろうか。

理由はわからない。

ただ無性に彼に触れたいと思った。