6話 ページ6
ダリルside
世界が狂ったあの日。
うじゃうじゃと数を増やす死人どもを殺しながら、俺は兄貴と、空き巣紛いのことをしていた。
銃なんかの武器や食料、そして兄貴は薬を手に入れるために、金持ちが住むエリアの家を一軒一軒物色していた。
「このエリアの住人供は毎日シラフで過ごしてんのか?4軒も回ってクスリがねぇのはどういうことだ」
そうぼやく兄貴が、次はあそこだと指をさした家。
二階建てのデカい家で、高級車が4台も止まってる。
金持ち連中は、身の安全を第一に考える。
だから大概、家の中は空で、どこかに避難してることが多い。
どうせこの家も無人だろうが、もし万が一死人がいた時のために、声を出さずに慎重に中を確認する。
兄貴が一階を確認している間に、俺は二階に進む。
ゆっくり慎重に足を進め、階段を上がってすぐの部屋の扉を開けた。
無人の部屋だが、なにか気配を感じた。
警戒しながら歩みを進め、部屋の奥にあるクローゼットにそっと手をかける。
死人がいてもすぐ打てるようにボウガンを構え、一気に扉を開けた。
そして目に飛び込んできたのは、自分の頭に銃口を向けた女だった。
「やめろ!なにしてやがんだ!!」
思わず叫ぶ。
すると、驚いたように目を開けて俺を見た女。
「誰...?」
訝しむような、呆然としたような声をあげる女。
綺麗なダークブラウンの瞳に、東洋の血が混じっているのか、少しミステリアスな雰囲気を醸し出していた。
「ダリルだ。お前は」
「リサ」
誰かに似てると思った。
でも誰かが思い出せない。
「なにか見つかったか?」
その時、兄貴の声が聞こえた。
「あぁ、生存者がいた」
そう答えながらも、リサを見つめる。
誰に似てるのか、すぐそこまで出てきているのに分からない。
「生存者だと?殺しちまうか?」
冗談を言いながら、俺が見つめる先のものを見ようとクローゼットを覗き込む兄貴。
「女じゃねえか。ようお嬢ちゃん。こんなとこに隠れてなにやってんだ」
「コイツ、自分の頭ぶっ飛ばそうとしてやがった」
リサを見てしゃがみこんだ兄貴にそう告げる。
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ぺろ - 続きを楽しみにしてます (2022年7月15日 19時) (レス) @page25 id: 1cd0628146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aaa | 作成日時:2021年1月17日 12時