あかるい夜

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2.変化ページ3

「…待って、Aちゃん。」

私の空いている手を掴んで引き留めたのは、浦風とも仲の良い、保健委員会の三反田数馬だった。…正直あっているかは自信がない。

「数馬…邪魔、しないでよ。」

いつもより低い声。繋がれた手に力がこもる。

「藤内こそいつも好きにしてるじゃないか。その行為がどれだけ僕や他の皆を刺激してるか、わかってるの？」

「いっ…！？」

三反田はああ見えても割と力があるらしい。腕を思いっきり引かれて痛い。いつのまにか浦風の手は離れていて、私は三反田の腕の中にいたのだった。

「なっ…数馬…！」

「ねえAちゃん、Aちゃんだって嫌だったでしょ？藤内といても楽しそうじゃなかったよね？無理やり付き合わされてたんでしょ？」

あながち間違いじゃないところがなんとも言えないが、とりあえずこの状態はやめてほしい。浦風の鋭い視線を受けつつ三反田に後ろから囁かれる。なんたる板挟み。

「とにかく。今日は藤内の好きにはさせないよ。いや、明日も明後日もずっと、お前の好きなようにはさせない！」

「はあ？…言ってくれるじゃん、さっきから。A、こっち来なよ。そいつより俺のほうがいいでしょ？ねえ、そうだよね？」

いつも仲の良い二人が。お前、とかそいつ、とか呼び合っている。明らかに異様なこの空間は三年は組の教室だったはずだが、いつのまにか私たち以外はいなくなっていた。

「え、と…あー…私は、」

「二人より僕のほうがいいよねー。」

「えぁっ！？…綾部先輩！」

どこから現れたのか、私の言葉を遮り勝手なことを言ったあげく、なんの躊躇いもなく肩に担ぎあげてきたのは、四年い組の綾部喜八郎先輩だった。