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いやいや、落ち着け。
今までの人生で一番と言っていいほどに私が動揺している理由、それは目の前のモニターにある。
仕事が一段落して惰眠を貪っていた私を叩き起こしたのはインターホンの音。
宅急便だろうかとモニターを確認するとそこには落ち着かない様子の智くんが映っていた。
そして、今。
「翔くんに連れてきてもらった」
「いやいやいや」
部屋に上げるわけにもいかずに玄関前で智くんと対峙している。
何がなんだか分からず”いや”しか言えなくなっている私を見て兄がまたおかしそうに笑う。
くそう、後で絶対に痛い目に遭わせてやる。
「あれ、返して」
いっこうに目を合わせようとしない私に痺れを切らしたのか、智くんが強引に私の視界に入り込む。
「あ、あれって？」
「この前あげた花束」
「ええ！？」
そんなこと言われたって…
ちらりと家の中を見てから視線を戻すと、智くんは今にも部屋に上がってきそうな勢い。
ごねて我慢しきれなくなった智くんに強行突破されるか、諦めておとなしく上がってもらうかどちらかを選ぶなら…
「ちょっと待ってて、すぐ片付けるから。そうしたら入っていいから！」
「え」
「お兄ちゃん！智くん引き止めてて」
「はいはい」
諦めて部屋に上がってもらった方がいい。
ただ往生際悪くも片付けたい私を許して欲しい。
ずっと片想いしてきた人が初めて部屋に来るって言うのに洗濯物とか出しっぱなしにはしてられない。
悪戦苦闘すること数分。
「…どうぞ」
「お邪魔しまぁす」
諸々取り繕うのを諦めた私は初恋の人と兄を部屋に招き入れた。
「返してって言われても、ごめんなさいもうドライフラワーにしちゃってて」
壁に掛けていた花を指し示すと智くんの機嫌が少しだけ浮上したように見えた。
「ひょっとして手違いだった？」
「いや…そうじゃねぇんだけど」
「え？じゃあ何？」
ごにょごにょと歯切れが悪い。
「ライラック、婚約者にあげたらダメだって翔ちゃんに聞いたから」
「え？」
「あげたら婚約破棄って意味になるんだろ？」
「それはそうだけど…」
確かに海外では婚約破棄を仄めかせる意味で婚約者にライラックを渡す風習があったと聞いたことはあるけれど…
いや、そもそも。そもそも、ね？
「そもそも私達婚約者じゃないよね？」
婚約破棄云々の前に前提がおかしいでしょ。
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とも(プロフ) - おはようぉございます。正に嬉しくて号泣です。お互いの気持ちが繋がった。素敵なお話をありがとうございました。 (2020年12月12日 7時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 柚さん» コメントありがとうございます！今回の更新でその気になった箇所をきちんと回収できていると思うので…楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年12月7日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています^ ^なんで息を呑んだのか気になりますねぇ(^-^)♪ (2020年11月24日 8時) (レス) id: c036a1a7fd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 橘花さん» 前のシリーズから！長く読んでくださってありがとうございます(*^^*)自信満々の翔さん格好良いですよね…あと二人も頑張ります！！ (2018年6月26日 11時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - まいさん» 強気×強気、良いですよね。まだまだ書き足りない事もあるので続編も考えてはいます(^-^)残りの二人も頑張りますね！ (2018年6月26日 10時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年3月15日 20時
