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綺麗にラッピングされた花束を持った智くんは上機嫌。
「そのお花どうするの？」
「ん、絵のモチーフにしようかと思って」
「モチーフって、智くん今も絵描いてるんだ」
「うん。商品のパッケージとかデザインしてる」
「開発ってそこまでするの？」
「いんや、社内コンペとかで決まった時だけ」
「へえー」
相変わらずの多才さにため息しかでない。
昔から絵を描くのが好きでちょこちょこ描いていたのは知っていたけれど、まさか商品のパッケージにまで起用されているとは。
私が惚れた人、恐るべし。
「ちなみにAちゃんの香水のも俺のデザインだから」
「え！？」
「ちょー頑張ったんだからな。Aちゃんの商品だろ？俺がデザインしなくて他に誰がすんの」
「は、え？」
耳に届いた言葉をよく飲み込んで、叫びそうになるのを堪える。
そ、そういうところだから！
なんでそんな口説き文句みたいなのを平気で口にするの？
「あ、ありがと。頑張るね」
「おう」
智くんの言葉や行動には深い意味はきっと無い。
いちいち揺れ動かされている私がダメなんだ。
私を推薦した兄の顔に泥を塗るわけにいかないし、デザインしてくれる智くんの為にもみっともない物を作るわけにはいかない。
いいものを作らなきゃ。
智くんの登場に浮かれて恋心に支配されていた思考がすとんと落ち着く。
そのお陰か、それからはずっと香水づくりに集中できた。
「これ、あげる」
智くんとの再会から数ヵ月。
無事に香水の納品が済んだことを祝いに智くんがお店まで来てくれた。
ポン、と智くんから手渡されたのは綺麗な花束。
「……ライラック？」
スーツ姿の智くんも格好いいなと呑気に浮かれていた私は最初意味がわからなくて。
花の種類が分かった瞬間、どきりと心臓が嫌な音を立てる。
智くんは知らないだろうけど紫のライラックには『私をまだ愛していますか』という花言葉もある。
まるで智くん本人にそう問われているようで、うまく笑えない。
「前に相葉ちゃんの店で好きだって言ってたから」
「…それが理由？」
「うん」
ああ、うん。
やっぱり智くんはその花言葉を知らない。
考えすぎだったことに安堵して、意識しすぎてしまっている自分を情けなく思う。
花言葉を知らない彼にはきっと伝わらない。
だけどこれは私なりの決意表明だから、この一言に私の気持ちを痛いほど込める。
「ええ、好きよ」
は、と智くんが息を呑む音が聞こえた気がした。
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とも(プロフ) - おはようぉございます。正に嬉しくて号泣です。お互いの気持ちが繋がった。素敵なお話をありがとうございました。 (2020年12月12日 7時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 柚さん» コメントありがとうございます！今回の更新でその気になった箇所をきちんと回収できていると思うので…楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年12月7日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています^ ^なんで息を呑んだのか気になりますねぇ(^-^)♪ (2020年11月24日 8時) (レス) id: c036a1a7fd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 橘花さん» 前のシリーズから！長く読んでくださってありがとうございます(*^^*)自信満々の翔さん格好良いですよね…あと二人も頑張ります！！ (2018年6月26日 11時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - まいさん» 強気×強気、良いですよね。まだまだ書き足りない事もあるので続編も考えてはいます(^-^)残りの二人も頑張りますね！ (2018年6月26日 10時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年3月15日 20時
