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その時が来たら何て返事をしようか考えていたあの時間は全くの無駄だったみたい。
だっていざとなったら驚きと嬉しさから胸が詰まって何も言えない。
「なによ？なんか言ってくんないと困るんですけど？」
くすくす笑う和にはそんなの全部お見通しのよう。
「声出せないならそれでいいから。これ、嵌めていい？」
頷きながら差し出した左手の薬指にするりと指輪がおさまる。
お、ぴったりと和は得意げに私の指をとって灯りにかざす。
「嵌めちゃったので返品不可ですから」
「ば、ばか。する訳ないでしょ！」
やっと出たのはそんな可愛げのない言葉。
それでも貴方は満足げに笑ってくれるから。
この人とならこの先の人生も歩んでいけそうだなと強く思う。
「和、」
「ん？なあに？」
「私と結婚してくれる？」
頷くだけじゃ意思表示として足りない気がして、私からも問いかけると和はぽかんと口を開ける。
「ちょ、今さっき俺がプロポーズしたばっかじゃん！」
「だって私も言いたくなったんだもの」
やっぱり何か間違えた？私だって和に聞いてみたくなっただけなんだけどな。
「参った、降参だわ。結婚しよう」
しばらく笑い転げていた彼は息も絶え絶えにそう言ってまた笑う。
「そんな笑わなくても」
「いやいや。ここまで計算外なことは付き合い始めた時以来だわ」
「付き合い始めた時に私何かしたっけ？」
「Aさんが何かしたっていうか、単純に言えば俺がここまでAさんに惚れちゃったのが計算外だったんだけど」
「何それ！初耳！」
「そもそもAさんが企画して大野さんが開発した商品は絶対売れるって評判だったから、どんな女性か興味あってあわよくばお近づきにって考えてたんだけど」
「はい？」
「思ってたよりも可愛い人だったから本気で口説いちゃったってわけ」
思いもよらなかった告白に今度は私がぽかんとする番。
何その顔間抜けだなと言いながらも和の瞳はこっちを愛おしげに見てる。
「計算外なことしてくれちゃってさ。これからずっとこうなのかと思うと、」
「……思うと？」
ちょっぴり不安になって聞き返すと和はにやりと口角を吊り上げる。
「楽しみで仕方ねぇわ！」
どこまでが彼の策略で、どこからが計算外だったのか。
秘密でもいいけどいつか教えてくれると嬉しいな。
＊fin＊
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とも(プロフ) - おはようぉございます。正に嬉しくて号泣です。お互いの気持ちが繋がった。素敵なお話をありがとうございました。 (2020年12月12日 7時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 柚さん» コメントありがとうございます！今回の更新でその気になった箇所をきちんと回収できていると思うので…楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年12月7日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています^ ^なんで息を呑んだのか気になりますねぇ(^-^)♪ (2020年11月24日 8時) (レス) id: c036a1a7fd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 橘花さん» 前のシリーズから！長く読んでくださってありがとうございます(*^^*)自信満々の翔さん格好良いですよね…あと二人も頑張ります！！ (2018年6月26日 11時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - まいさん» 強気×強気、良いですよね。まだまだ書き足りない事もあるので続編も考えてはいます(^-^)残りの二人も頑張りますね！ (2018年6月26日 10時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年3月15日 20時
