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映画を見たあとに二人で感想を言い合って、櫻井さんお勧めのお店で夜ご飯を食べる。
お店を出た頃にはすっかり外も暗くなっていた。
「……遅くならない内に帰ろうか。送るよ」
「はい」
いつもそう。
"遅くならない内に"そう言っていつも21時過ぎには家に帰される。
普段は次の日に響かないことを嬉しく思っていた。
でも今日は違う。
もう終わってしまう、本当にこれが最後になってしまう。
今日が終わればきっとこの人とはもう二度と会えなくなる。
嫌すぎる…帰りたくない。
「A、少し寄り道しても良いかな？」
「え？大丈夫……ですけど」
やばい、もしかしてさっきの声に出てた？
急な誘いに焦ったけれど、帰りたくないと口に出していた訳では無かったみたい。
その証拠に櫻井さんはもうこっちを見ていなくて。
もしも気付かれたらその時点で終わりなんだから、気をつけなきゃ。
暫くして車が止まったのは一軒の家の前。
ちょっと待っててと言い残して車を出て行った櫻井さんは10分ぐらいで帰ってきた。
……手に花束を持って。
「ここ、俺の友達がやってる花屋なんだわ」
プレゼントだと渡された花束を震える手で受け取る。
もうこれ以上ドキドキさせないで欲しい。
先を望むなんてことはしない、と固めたはずの決意が揺らぎそうになる。
「受け取ってくれてありがとう」
「いや、あの…ありがとうございます。こんなに素敵な花を頂いてしまって」
花束は中心から外側に向かって色が淡くなっていく作りで、一番外側は淡いピンク色、中心には赤い……菊？
「花ってさ、色によって花言葉が違うんだって」
知ってた？なんて聞かれてもそんなことを考える余裕は今無くって。
首を横に振った私を見て櫻井さんは軽く微笑う。
「黄色い菊だと良くない言葉で、赤は”あなたを愛しています”なんだって」
「は？」
待て待て待て。
何をいきなり言い出すのかこの人は。
そんなの言われてこの花束を受け取れる？無理でしょ。
だからと言って突き返すのは失礼だし、ただの花言葉なのにまともに受け取って意識し過ぎだと思われない？
パニックになってる頭で必死に考えて、ふと彼を見るとそれはそれは愉快そうな顔をしていて。
その顔にカチーンときた。
「そうやってからかって楽しいですか？」
「…え？」
「自分の行動に悩んでる人を見て楽しいんですかって聞いてるんです」
キッと彼を睨みつけた私の目は、たぶん涙目だったと思う。
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とも(プロフ) - おはようぉございます。正に嬉しくて号泣です。お互いの気持ちが繋がった。素敵なお話をありがとうございました。 (2020年12月12日 7時) (
レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 柚さん» コメントありがとうございます！今回の更新でその気になった箇所をきちんと回収できていると思うので…楽しんでいただけたら嬉しいです。 (2020年12月7日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています^ ^なんで息を呑んだのか気になりますねぇ(^-^)♪ (2020年11月24日 8時) (レス) id: c036a1a7fd (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - 橘花さん» 前のシリーズから！長く読んでくださってありがとうございます(*^^*)自信満々の翔さん格好良いですよね…あと二人も頑張ります！！ (2018年6月26日 11時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - まいさん» 強気×強気、良いですよね。まだまだ書き足りない事もあるので続編も考えてはいます(^-^)残りの二人も頑張りますね！ (2018年6月26日 10時) (レス) id: 00c99a5500 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年3月15日 20時
