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N視点
夏になると咲く黄色い花。
その花を見ると必ず思い出す奴がいる。
彼女にはすぐに忘れるなんて言ったくせに、俺自身は5年も経つのに忘れられなくて。
窓の向こうの健気な花を睨みつけてしまう。
お盆片手に食堂をうろうろしていると、目が合った同期が手を振ってきて。
少ししかない休憩時間……なるべくなら静かに過ごしたい、けど。
無視して他の席に座るのもなんか癪だしな。
「あ！松潤、ニノちゃんきたよ！」
「……あれだけ大きくアピールされたら無視できないでしょうが」
こっちがいくら溜め息を吐いても、このニコニコしてる奴には通じない。
そのことにまた彼女を思い出してしまって辛くなる。
「相葉さん、邪魔。俺はJの正面に座りたいんですけど」
「なんで！？俺の隣でいいじゃん！松潤斜め前だよ？」
「そこだと利き手同士がぶつかるから嫌なんでしょ？ほら、こっち座りなよ」
俺と相葉さんの会話に苦笑いしながらも、もう一人の同期は飯を食べ続けている。
その様子にこれは忙しいんだなと心配になる。
「どうよJ、やっぱ救命は忙しい？」
「うーん…夏は水の事故とか熱中症とかいろいろあるからね」
そう言った傍から彼の胸ポケットに入っていた機器が鳴り出して。
「……うん、分かった直ぐ行く」
「おつかれー」
「頑張って」
慌ただしく去っていく背中を見送って正面に向き直ると、いつの間にか相葉さんが移動してきていて。
「…何？」
じーっと見つめられて胡乱げな声が出る。
「ニノちゃんってばまだあの子のこと引き摺ってるんでしょ？」
またこの人は。
ただ愛想のいい医者かと思えば急に核心を突いてきやがって。
「べ、つに」
「あ！言葉に詰まった！さては図星でしょ」
松潤の言ってた通りだ、って。
お前ら人のいないところで何喋ってんの？
「だから、違うって言ってんだろ」
「いーや違わないね。あの子が元気にしてるのか絶対気にしてるでしょ」
「元気に決まってんだろ？俺が手術して、成功したんだから」
「とんでもない気迫だったってオペ看の子に聞いたよー」
「バーカ。手術ん時はいつもああだわ」
いや、それはちょっと嘘。
実際あいつの手術の時はいつも以上に集中してた。
そりゃそうだろ失敗するわけにはいかなかったんだから。
惚れた女を自分の手で殺すかもしれない、なんてどんなシチュエーションだっての。ドラマでしか見たことねぇわ。
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
