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で、そんな私がどうして先生と二人きりでいるかというと。
それはやっぱり押しの強い先輩のせい。
『何か今日…先生すっげぇ機嫌悪いんだわ。プレゼント渡すの頼む』
な、と拝むような仕草で頼まれてしまったら断れなくて。
なんだかんだ頼みごとばかりの先輩と、意志の弱い自分にうんざりしてしまう。
「……おい如月。人を呼んでおいてぼうっとするな」
「あ…す、すみません」
一層不機嫌な声で呼びかけられて我に返る。
「えっと、これ…お誕生日プレゼントです！ゼミのみんなで買いました！！」
もう一息に終わらせてしまえ！とばかりに両手で勢いよく差し出す。
「…なんだ、そういうことか」
「え？」
ふっと棘の抜けた雰囲気の声に先生の顔を思わず見ると、先生は安堵したような顔をしていて。
初めて見るその表情に目が逸らせなくなる。
すぐにいつもの仏頂面に戻った先生は私の手から紙袋をするりと抜き取る。
｢開けてもいいか？｣
｢あ、はい｣
ネクタイピンを見た瞬間、先生の瞳が少しだけ見開かれる。
｢……ありがとう。大事にするよ｣
ポン、と手が頭に載せられて軽くかき混ぜられる。
｢ちょっ、先生！｣
｢ん？｣
｢髪ぐしゃぐしゃになる！｣
｢はははっ……直してこい｣
先生の手が離れた途端に駆け出して部屋を飛び出す。
手が載せられていた所からじわじわと暖かさが広がって、顔までが火照ってくる。
こんな顔見られたら、また何を言われるか。
｢仕方ないじゃん……好きなんだもん｣
言い訳みたいに呟いたその言葉がすとんと心の内に降りてきて。
よし、と諦めがついた。
先生に想われなくても、私があの人を好きでいるのはきっと自由。
｢気が済むまで想い続けてやるんだから｣
決意表明して見据えた鏡にうつった顔は、我ながら良い顔をしていた。
｢……卒業まで、だな｣
そうこぼした先生が鞄の中のピアスを見つめていたのを私が知るのは……もう少し先。
〜fin〜
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
