臙脂色【S】1. ページ35
こちらはWill You Marry Me?【ars】[12/7 完結]のSさんとのお話『赤菊の君』の続きとなっております。そちらを先にお読みください。
頼む、誰か嘘だと言ってくれ。
もしくは夢だと笑い飛ばすのでもいい。
馬鹿なことを考えて現実逃避する私をよそにテレビの映像は止まらない。
『本日行われた大手化粧会社ケラススの株主総会で、就任したばかりの新社長による挨拶が行われました。新社長は櫻井グループの直系の……』
「お、やっぱ松本の言う通り臙脂色のネクタイにして良かったな」
後ろから聞こえた声におそるおそる振り向く。
濡れた頭を拭きながらテレビを見て満足げに頷くその人と、今流れている映像で挨拶をしている男は同じ顔をしてる。
目をこすって何度見比べても顔は全く同じ。
「……翔さんのそっくりさん？」
「なんでだよ。顔も同じで同姓同名なら本人に決まってんだろ」
ふは、と笑った彼は私の恋人。
「どうも、この度社長に就任した櫻井翔です」
それでもって社長に就任した…らしい。
「社長って！何で教えてくれなかったんですか！？」
「ごめんな、きちんと発表されるまでは極秘扱いでさ」
機嫌をとるように頭を撫でる手にほだされそうになるけれど、口元がニヤニヤしているのが見えて慌てて気を引き締める。
「……本当のところは？」
「黙ってた方が知った時の反応が楽しそうだと思って」
「ほんっといい性格してますよね」
「そんな唐突に褒められたら照れるんだけど」
「褒めてない！！」
「ははは。やっぱAは面白いな」
ああもう。
いくら私が噛み付いても何とも思ってなさそうに笑われる。
私の子供っぽいところを受け流してくれる所は嫌いじゃないけれど、いつまでも余裕そうな顔が崩れないのはもやもやする。
やっぱり私ばかり必死じゃない、なんて。
「ごめんって。機嫌直してよ」
「別にそこまで怒ってませんけど」
ほら、また。
いつだって翔さんの方が先に折れてしまうから私は謝るタイミングを逃してしまう。
こういう何気ない時に年の差を感じてしまって。
何よりそれに甘えている自分に一番腹が立つ。
「……翔さん、ごめんね？」
「何が？え？何かしたの？」
私の言葉にわざとらしく動揺してみせる彼にまた苦しくなって。
「冷凍庫に入ってたアイス食べちゃった」
「俺のアイス！！」
苦しさを誤魔化すようにふざけて翔さんに抱きついた。
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
