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カズさんの言う ”あの時” が何を指すのかわからなくて戸惑った、けど。
忘れて欲しいなんて言葉を使うような会話を考えてすぐに思い当たった。
「あの時って、もしかして酔っ払って怒ってカズさんに初めて告白した時？」
「そうだよ。…あん時、お前のことメチャクチャ傷つけたから。若干トラウマになってんの」
「そっか、気づかなくてごめんなさい」
まさかカズさんがそこまでショックを受けてたとは思わなかった。
知らなかったとはいえ傷つけてしまうのは本意じゃないのですぐに謝る。
「あの時ほどの意味はなくて、カズさんがちょっと嫌そうだったから聞いちゃまずかったのかなって思ったのよ」
慌てて弁解すると彼の口元が少しだけ緩む。
「俺そんな嫌そうな顔してた？」
「…うん。眉間にシワ寄ってた」
そっか、と小さく呟いて今度は愉快そうないつもの顔に戻った。
「てっきり俺は、潤くんとか大野さんのことが知りたいのかと思って焦ったの」
「え？私が聞いたのと同じでしょそれ」
発言した私からしてみれば同じことの気がするのに。
カズさんは何が言いたいんだろう。
「バカ、全然違うだろ。俺のことが知りたいから俺の周りの人のことを教えてくれってことだろ？」
「うん」
「そんなの嫌でもなんともねぇよ。好きな人のこともっと知りたいなんて恋愛の初歩中の初歩じゃねえか」
そう言うカズさんの耳はなぜか赤い。
ひょっとして、と思い浮かんだことを素直に聞いてみる。
「カズさんも私に対してそう思ってくれてるの？」
「当たり前だろ」
「そっか…ふふ、そうなのね」
「…そんなに面白い？」
カズさんはとっても面白くなさそう。
だけどそんな顔で抗議されても、ちっとも私の笑いは止まらない。
「だって初めて好きって言ってくれたし」
厳密には直接言われたわけじゃないけど。
”好きな人のことを知りたい” と私に対して思ってくれてるというのが、好きと言ってくれることと同義に思えて。
今日までの不満はどこへやら。
嬉しくて笑いが抑えられない。
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紫苑(プロフ) - りえさん» リクエストありがとうございます。『ハラグロなふたり』の続きですね。鋭意創作中ですので今しばらくお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - すずさん» コメントありがとうございます。赤菊の君の人気ぶりにびっくりしてました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - ゆっこさん» リクエストありがとうございます。潤くん視点のお話書かせていただきました！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - mihoさん» リクエストありがとうございます。Lapis lazuliの続きですね！承知しました。ただいま創作中ですのでしばしお待ちください！ (2021年1月4日 13時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - るきさん» リクエストありがとうございます。『赤菊』の翔さんサイドを書かせていただきました！大野さんのお話はもうしばらくお待ちくださいね。 (2021年1月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2017年1月23日 20時
