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「カズさんの具合はどうですか？」
「うーん、ちょっとした風邪だからそんなにひどくはないんだけどねぇ」
これは心の問題だから。
大野さんがボソッとつぶやいた、その一言の意味が分からなくて彼を見つめてしまう。
「それって…」
「ふふ、あんまり話したらニノに怒られちゃうから」
深く聞こうとしたら笑って誤魔化されて。
初見の印象よりもこの人手強いかもしれない。
「あ、ねぇ」
「はい？」
「俺さぁ物覚え悪くて。有名人なのにごめんねぇ、名前教えてくれる？」
「あはっ…篠田Aです」
「あー、そんな名前だったかも」
悪いと思ってなさそうなその言い方に笑ってしまいながらも自己紹介をして。
私の名を聞いて、うんうんと納得したように一人で頷いたその姿が面白くてまた吹き出してしまう。
「なぁーに笑ってんだよぉ」
「ごめんな、っさい……ふふ、」
大野さんの注意ですら笑いながら、というような感じで。
結局二人して笑ってしまう。
初対面なのにこんなに打ち解けられる人は初めてで。
カズさんでさえ最初は緊張してまともに顔が見られなかったのに、と思うと変な感じ。
「あーおもしろ。Aちゃんみたいな子、はじめて」
そう言いながら細められた目に、表情に魅せられて彼から視線が逸らせなくなって。
「うう…ちょっとおじさん、なに人の後輩口説いてんですか」
ガラリと開いた引き戸の奥からカズさんが現れるまで、私は大野さんの顔を見つめていた。
「か、カズさん！」
「ったく、なんでAがいんだよ？」
「マネージャー達に様子を見てこいって言われて……」
あまり機嫌が良くない様子にひるみながらも事実を伝えると、カズさんはチッと舌打ちをして。
「今夜おとなしく寝てれば治りそうでした、って伝えとけ。そんでお前はさっさと帰れ」
「何ですかその言い方！！」
酷いですよ、と言いながらもやっぱり迷惑だったのかな…なんて考えて密かに泣きそうになった。
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紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» あとがきにも追記しましたが、この二人のその後を短編で書き始めました。ぜひ覗いてみてくださいね。 (2020年6月7日 16時) (
レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - ものすごく楽しみです！またこの2人に会えるのを楽しみに日々の生活頑張ります。こんな時期ですので御無理のないよう創作して下さいね。 (2020年6月6日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - yukidarumakunさん» 労いのお言葉ありがとうございます。この後の二人については少し考えていることがあるので楽しみに待っていてください！続きを書いた時にはまたこちらでお知らせしますね。 (2020年6月4日 12時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
yukidarumakun(プロフ) - 完結お疲れ様でした。この後の2人も見たいですね。また、いつか続編読ませて頂ける日を楽しみたいしています。 (2020年5月31日 19時) (レス) id: b586aa50e6 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» コメントありがとうございます。楽しみと言って頂けて嬉しいです。更新頑張りますね！ (2020年5月26日 23時) (レス) id: 217cb95def (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫苑
| 作成日時：2016年12月14日 22時
